金融の決済機能【金融の基礎】

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  • 2015年09月20日公開
キーワード
金融
銀行
経済
決済

決済機能とは?ー数字をいじるだけの金融取引

金融の本質とは?【金融の基礎】では金融の仲介機能について解説をしました。

今回は金融機関のおかげで“決済”が可能になっていることを解説していきます。 

金融の役割には決済機能というものがあります。

決済とは“支払い”の意味であり、私たちの日常においてすごく身近なものになります。

金融がいかに身近な存在であるかは、この決済機能の理解を通じて実感できると思います。

  

金融がない場合の送金

金融のありがたさを実感するために、金融機関が存在しない場合を想定してみましょう。

私たちは銀行を使うことができません。

さて、学生講師の中には仕送りを受けている人がいると思いますが、どうやって仕送りをしてもらいましょう?

普通であれば、両親に自分の口座に振り込んでもらうことが普通だと思います。


しかし、金融機関が存在しない場合、送金を“郵便”を通じて行う必要があるのです。

つまり、封筒に入れられた1万円札10枚を、そのまま自分のところへ送り届けてもらうのです。

ここでの特徴ですが、この場合両親の持っている10万円と自分が受け取る10万円は“物質的に”同じものだということです。

つまり、もし両親がその札に赤ペンで印をつけたとしたら、あなたが受け取るお金にもその印があるはずです。

 

でもこれって面倒ですよね?

だって両親から送金してもらったとしても、それが届くのは数日後。

もしあなたが金欠の状態でしたらその間何も食べられないということになります。

 

金融がある場合の送金(同じ銀行で)

というわけで、ここで金融の役割が必要となるわけです。

そもそもお金って“物質的に”同じである必要はないのです。

両親が送った額と、あなたが受け取る額が同じであれば、赤ペンで印がついているものだろうが、新札だろうが、なんだっていいのです。

 

ここで、銀行が介入します。

例えば、両親が福岡県にいたとして、あなたが東京にいたとしましょう。

そしてA銀行の支店が福岡県と東京にあり、両親とあなたはそこに口座を持っているとしましょう。

 

両親がA銀行を通じて10万円をあなたに送金したとします。

当然、A銀行における両親の口座から10万円分の数字が差し引かれます。

一方で、あなたのA銀行における口座では、10万円分の数字の増加があります。

これはA銀行全体でいえば、お金の収支は変わらないということでもあるのです。

 

以上で、送金は完了です。

送金が行われた瞬間に、福岡県の支店から東京の支店に電話一本、

「○○君の口座、10万円分増やしておいてくれ。ご両親の口座から10万円分差し引くから」

という報告をするだけなのですから。

 

金融機関が存在しない場合とくらべて、そのスピードは一瞬ですね。

これのポイントは両親の手元にあったお金とあなたが受け取るお金は物質的に同じである必要はなく、さらにいえば同じ銀行内の数字をいじるだけでよい、ということなのです。

 

違う銀行への送金

しかし、銀行をまたがると少し面倒なことになります。

というのも、A銀行の口座からB銀行の口座へ振込を行う場合、銀行の収支が発生するからです。

例えば両親がA銀行の口座を、あなたがB銀行の口座を持っていたとしましょう。

両親が振込を行った場合、

「○○君の口座、10万円分増やしておいてくれ。ご両親の口座から10万円分差し引くから」なんてことは言えません。

両親の口座はA銀行、あなたの口座はB銀行。

数字をいじるだけではなく、実際にA銀行からB銀行にお金を渡すということをしなくてはならないのです。

 

そこで登場するのが日本銀行です。

日本にあるどの銀行も日本銀行に口座を持っています。

銀行が持つ、銀行の口座です。

 

両親のA銀行の口座から10万円が引かれ、

それは日本銀行にあるA銀行の口座から10万円が差し引かれることを意味し、

一方で日本銀行にあるB銀行の口座は10万円分増加し、

それはあなたのB銀行の口座に10万円振り込まれることを意味します。

 

これはある意味、日本銀行が「銀行の銀行」と呼ばれる所以でもあります。

銀行が個人のように日本銀行に口座を持っているおかげで、銀行間でのやりとりが容易になっているのです。

 

海外への送金

海外への送金はさらにおかしなことになります。

日本国内の取引であれば、日本銀行が仲介役となって、銀行と銀行をそれぞれの口座を通じてつなげることができました。

しかし、国際レベルになってしまうと、そういった銀行は存在しません。

 

ではどうするか?

その答えが以下の図です。

 

例えばA銀行とB銀行があったとしましょう。

もしA銀行の中にB銀行の口座があり、さらにB銀行の中にA銀行の口座があったらうまくいきます。

両親のA銀行の口座からあなたのB銀行の口座に振り込む場合、A銀行は「両親さんの10万円をB銀行の口座に振り込む」ということを行うのです。

そしてB銀行は「A銀行からもらった10万円をあなたの口座につける」のです。その逆もしかり。

 

もしA銀行がB銀行に口座を持っていなかったとしたら、別の銀行を経由することがあります。

例えばA銀行がC銀行に口座を持っている。

さらにB銀行もC銀行に口座を持っていたら、C銀行を経由してA銀行はB銀行に振り込みを行うということになります。 


クレジットカードという決済

支払いは一種の送金と言えます。

銀行の振込はその典型です。

しかし、今や最も主流となったのはクレジットカード決済でしょう。

 

クレジットカードは金融の一部のように感じますが、実際には消費者の支払いを代行しているに過ぎないので、金融の本質とは少しかけ離れます。

クレジットカード決済とは、クレジットカード会社が支払いをある一定期間肩代わりするというものです。

そしてその期間が過ぎたら、肩代わりした額を銀行に請求するという形を取ります。

一種の先払いですから、当然消費者の信用が問われるわけです。

ゆえに“クレジット”(credit:信用)カードと呼ばれます。

 

クレジットカード会社はその手数料でもうけを得ています。

消費者は商品の購入の際、クレジットカードを使用します。

現金で支払おうが、クレジットカードで支払おうが支払う額は同じですが、実際にはクレジットカードで支払った場合、その額の3%ほどはクレジットカード会社に手数料として取られているのです(店側からしたら損)ということになります。

 

しかし、クレジットカードは銀行振込に比べて支払いが簡単です。

クレジットカードは番号を入力しさえすれば簡単に買い物ができますが、銀行振り込みはATM経由で振り込み作業をしなければいけません。

(今ではネットバンキングがありますが、少し登場が遅かったようです。すでにクレジットカードが支払い手段の主流を占めており、ネットバンキングはサブ的扱いとなっています)

 

 

まとめ

金融の決済機能は、いわゆる「銀行での支払い」を可能とするために不可欠な存在です。

それは銀行の口座を連結することによって可能となっています。

しかし、クレジットカードの登場によって「銀行での支払い」はサブ的な扱いとなりました。

銀行はネットバンキングを生み出しましたが、それも主流となるものとはなりませんでした。

銀行の決済機能は政経の科目では焦点が当てられていない分野ではありますが、その機能を深く知っておけば、ふとしたときに生徒の関心をひくことに役立つことでしょう。

 

ところで、“決済”とはつまるところ紙幣や硬貨を用いないで、数字をいじくりまわすだけで支払い手続きを完了しているということです。

紙幣や硬貨といった物質ではなく、デジタルのみで取引を行えている状態。これが、次回解説する、「信用創造機能」につながります。

 

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