身につけておきたい「学習習慣」 その秘訣とは!?
保護者・生徒の悩み
こんにちは。本記事にアクセスしていただきありがとうございます。
本稿では、塾講師を現在進行形で務めている方や、お子さんに受験生を持つ保護者の方を対象に「学習習慣」について考えてみたいと思います。
というのも、筆者自身塾講師を経験する中で、よく保護者から、
・自分から塾に行きたいと言い出すところまでは良かったけれど、学習習慣が身についていない
・定期テストなどが終わるとすぐ勉強をしない生活に戻ってしまう
・叱りつけないと勉強を始めようとしない
このような相談、悩みの声を多く寄せられたことがありました。
さらに興味深いのは、勉強をしている生徒自身も「勉強に向かう意欲はあるけれど、なかなかそれを続けることができない」ということを自覚し、なんとかそんな自分を(学習習慣をつけられるように)変えたいと思っている生徒が多いのです。
実際に、塾で成績を伸ばす生徒と、伸び悩んでしまう生徒を見ていると、家に帰ってからも誰に言われるでもなく机に向かえるような学習習慣を持っているかそうでないかが大きな違いとしてあるような気がします。
この学習習慣を身につけられるかどうかは、受験のみならず将来の学び続ける力にも大きくかかわってくるため、教育に携わる塾講師も学習習慣を身につけさせられるよう、学び続けることの魅力を伝えていきたいですね。
なぜ今「学習習慣」が必要なのか
学習習慣を考える前にそもそも「学習習慣」とは何か。そして、なぜこの「学習習慣」を身に着けることが必要なのかを考えてみましょう。
「学習習慣」の定義とは
学習習慣という用語は実は学術的な定義は定まっていません。
なので、ここでいう学習習慣とは「内発的動機づけに裏打ちされた習慣化された学習」と定義をして話を進めていきたいと思います。
内発的動機づけとは、簡単に言うと知りたい・学びたいという気持ちが内側からふつふつと湧いてきて、それが学習を促すということなのですが、詳しくは拙稿「【必読】教育心理学の観点から考える生徒の動機付け」
冒頭でも述べたとおり、他人に強制されてから行う勉強ではなく、あくまで主体的に自らの意志で勉強に取り組むような習慣をさす言葉として話を進めていきたいと思います。
「学習習慣」を身につける大切さ
では次に、なぜ「学習習慣」を身につけることが重要なのかについて考えてみましょう。
先ほど学術的な定義はない、と述べたばかりなのですが、教育界では現在とてもホットなテーマです。
なぜホットな話題なのか。
「教育界の憲法」ともいわれる学習指導要領には、要約すると以下のようなことが書いてあります。
現代のように、日々めまぐるしく変化する社会の中で常に起こりうる課題を解決し、(課題解決能力)新しい枠組みの中で最善な方法を創っていく力(創造力)が必要とされている。
いかがでしょうか。
本記事を読んでいるみなさんは大学生・社会人以上の方が多いと思うので振り返ってみていただきたいのですが、上記のような課題解決力、創造力は常に必要になってくる力ではないでしょうか。
たとえば、以下のような例を考えてみましょう。
<例>
①企業で商品を作っている際に、トラブルが発見されてしまった。<課題発生>
②一体製造過程のどの段階で、そして問題が起こってしまったのかをしっかり見極める<課題発見能力>
③課題を解決する<課題解決能力>
④課題が再び起こらないような新しい仕組みを想像する<創造力>
いかがでしょうか。
企業で働いている中で実際に起こりうるシチュエーションでたとえてみましたが、このように課題発生から創造力までが必要になるプロセスは社会人になってからもきっとありますよね。
社会人になってからも必要な課題解決能力、創造力が指導する各教科においても、求められてくるわけです。
例えば、筆者は社会科が専門なのですが、現代史で公害を勉強するとき、
①何が課題となっているか:公害問題の実態を把握
②どのように解決してきたのか:裁判の経緯、損害賠償のあり方について考える
③新しい枠組み:同じことが起こらないためにはどうすればよいのか(公害対策基本法、環境対策がビジネスになったこと、そして現在への視点もふまえる)
というように、ただ単に歴史を追うだけでなく、前述したような力を身に着けるために授業実践をするように心がけています。
上記のものはあくまで社会科での例ですが、皆さんが教えている各科目においても必ずそれぞれの特性に応じた活用の仕方があると思うので、良ければ日々の授業の間に再考してみてください。
学習習慣を身につけるには
それではここまで、なぜ学習習慣が重要なのかを確認したうえで、いよいよそれをいかにして身につけるか考えていきましょう。
学びのプロセスの中に動機づけを組み込むこと
学習習慣を身につけるために必要なもの。
それは「学びのプロセスをつくっていくこと」と、教育学の基本的な教科書にはよく書かれています。
確かに、正しい努力を正しい方向で十分に積み重ねることができたら、学習習慣は自然と身についてくるものです。
しかし、そもそも学びのプロセスをまだ作れていない児童・生徒に対してはどのようにアプローチすればよいのでしょうか?
塾講師を経験している皆さんには実感があるかもしれませんが、勉強に対して苦手意識を持っている生徒ほどこのプロセス作りには苦労する傾向があります。
そこで、もう1段階ステップを入れることが必要になります。
それは「学びのプロセスの中に動機づけを組み込む」ことです。
受験生時代を振り返ってみてください。何かを勉強するとき、目的を持たずに勉強していたでしょうか?
英単語・熟語のような、単純な知識系のものであっても、
・「英文をよりスラスラ読めるようになるため」
・「文法・語彙問題を本質的に理解するため」
といったような動機がありませんでしたか?
また、こうした動機をもって取り組む結果それが本当に英語を読むために役に立つことがわかっているからこそ熱心に取り組んできたと思います。
一方、まだ学びのプロセスの中に動機づけが組み込まれていない生徒は、こうした勉強に対して
・「英単語をこんなに覚えて何になるのか」
・「何のためにこれを覚えるのかわからない」
といったように、なかなか学びのプロセスの中に動機が見つけられていないのです。
また、覚えようという努力をしてみても、単語学習のための単語学習になっているため、そこから得られる学びの質も薄くなってしまうわけです。
授業の中に動機づけへの伏線を
では、児童・生徒に対してどうすれば学びのプロセスの中に動機づけを組み込めばよいのでしょうか?
これについては、皆さんそれぞれのやり方があると思うのですが、共通して言えることは、1つの授業の中で「学んだことを役立てる実体験」を積み重ねてあげることです。
例えば、筆者が社会科を教える時であれば、授業で扱った内容を最後に実践の中で使える形にします。
入試問題にチャレンジしてみたり、学んだことを通して自分が思ったこと・意見を発表する場を設けたりするなど、学んだことを活用しやすい課題を与えます。
そのうえで、生徒が活用できたことを積極的に評価することで、生徒に学習の充実感を与え、
「学んだことはこういう風に役立つのか」という体験をさせることができます。
魅力的な授業をつくっていくことに加え、事前事後も見据えた実践指導が出きれば、生徒にとってよりメリットになる学習習慣を築いてあげられると思います。
やり方は皆さん次第ですが、こうしたことを意識しながら授業をしてみてはいかがでしょうか。
まとめ
以上ここまで「学習習慣」とは何か。
そして、いかにしてそれを築き上げていけるのかについて一緒に考えてきました。
最終的には生徒自身が自ら「やってやるぞ」という気持ちにならなければ、「学習習慣」というのは確立できないものなのですが、そうした気持ちにするために塾講師ができることとはなにか。
それを皆さんと一緒に考えられたらと思い、本稿を執筆してきました。
以上です。ここまで長文お読み下さりありがとうございました。
皆さんのご活躍をお祈りしています。