【教育現場を通して】年代ですれ違う挨拶に対する考え方が面白い!ー相手を誤解していませんか?

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  • 2014年07月28日公開
キーワード
挨拶
礼儀
人間関係
コミュニケーション
教育
矢萩邦彦

教育業界に限ったことではないですが、「年々挨拶をしない若者が増えている」、なんて話を良く聞きます。「ゆとりのせい」だとか「ゲームのやり過ぎ」とか「親がだらしない」など色々な意見が飛び交います。僕自身そういう若者が極端に増えているとは思わないのですが、実際挨拶をしない人が多いとは感じています。教育業界ですらそうなのですから他の業界はもっと顕著なのでは? と懸念してしまいます。

年配の講師達は、その状況にかなりおかんむりな方も多く、「最近の若者は……」というお約束のお説教なのか愚痴なのかを、若者代表として聞かされることも多々ありました。それだったら自分から挨拶すれば良いのに、と思いますがやはりプライドや序列などを大事にする方も多く、そういうわけにもいかないようです。


それぞれの礼儀観

とはいえ、僕も挨拶をしない風潮は、教育の現場では特によくないと考えているので、できる限り自分から挨拶をしようと心がけているのですが、挨拶をしない新人講師やスタッフとよくよく話してみると、その原因は結構複雑なものだという印象を覚えます。

挨拶のない新人さんに「初めまして、新卒の方ですか?」と声を掛けると、多くの場合「は、はい、今日から配属になりました○○です。よろしくお願いします!」という具合で、愛想が悪いわけでもないし、初々しくもシッカリした感じなんですね。

そこである時思い立って、自己紹介や軽い雑談などして打ち解けてから、誰もいない部屋に連れ出して「自分から挨拶しないと、やりにくくなるよ」とアドバイスをしたんですね。そうしたら意外な言葉が返ってきました。

「え、まだ紹介されていないのに、自分から勝手に挨拶したら失礼かと思って……」

実はこの種の回答、それから何度か耳にしました。なるほど、彼らは彼らなりの価値観の下で、「礼」の感覚を持っているんですね。であれば、お互いの価値観をシェアしなければ始まりません。多様な個性が同じ職場で協働するわけですから、価値観の違いは想定しておかないと、上手く回りません。問題は、誰がその切っ掛けを作るのか、ということだと思います。残念なことに最初に答えてくれた方は、環境に馴染めずうつ病になって2年で退職されてしまったと聞きました。


言動を過信しないこと

僕が新人の頃、ベテラン講師の方に「お疲れ様でした!」と挨拶をしたところ激怒されたことがありました。曰く「“お疲れ様”とは何事だ! それは目上の者が目下の者をねぎらう言葉だろう、しっかり勉強してこい!」と。あまりにも激しく言われたので、そうだったのか、と無知非礼を詫びて帰ったのですが、冷静になると釈然としなかったので調べたところ、「お疲れ様です」にはそういうニュアンスはなく、どうやら「ご苦労様」と混同されているのだ、ということが分かりました。

とはいえ、その先生が間違っていたというよりも、そういう価値観だった、と捉えた方が良いと思うんですね。言葉の意味なんて、多くの人がそういう意味で使うようになれば、そっちが慣習になっていくわけです。塾や教室によっても文化がありますしね。

つまり、特に打ち解けていない関係においては、「言葉や行動から相手の気持ちが分かる」という風に思いすぎない方が良いということですね。同時に、自分の気持ちも伝わっていない可能性が高いことを前提にした方が、よりスムーズなコミュニケーションを取ることが出来るのではないでしょうか。


気を遣うべきなのはどっち?


さて、コミュニケーションが上手く行かない場合、どちらが気を遣うべきなのかですが、単純に気づいた方で良いのだと思います。あるいは、コミュニケーションの最初の段階においては、目上の人が気を遣うくらいの余裕が必要なのだろうと思います。特に教育業界では、生徒は講師を見ています。講師が元気よく挨拶するクラスは、やはり活気や礼儀が伝染するように感じます。「大人なんだからそれくらい言われなくても……」と思わずに、その場においては新人なのですから、まず先輩側の価値観をちゃんと伝えることが、上手く場を作り、新人を育てるコツな気がします。

ですから当然、生徒に対しては関わる誰もが挨拶をすべきと思います。僕が今まで関わった教室でも、担当していない生徒に積極的に挨拶をする先生がいる校舎は活気がありましたし、また事務スタッフも挨拶が元気な方が生徒だけでなく講師のモチベーションにも繋がっていました。しかしながら、無理矢理心ない挨拶をさせるのも考え物です。
 
以前講義を持っていたある教室では、授業前に先生が一人一人全員の生徒と挨拶をして握手をすることが義務づけられていたところがありました。能動的にするのならばとても良いことなのですが、義務で儀式的に挨拶をすることは生徒にもそのように伝わってしまいます。「この挨拶コーナー、好きな人どれくらいいますか?」とアンケートを採ったところ、クラスの五分の一くらいがあった方が良い、またはあっても良い、半数はどちらでも良い、残りは無駄だと思う、無いほうが良いとの結果でした。「先生による」というリアルな意見もありました。
 
毎回の握手は極端にせよ、生徒と積極的に挨拶をする講師に、悪い印象を持つ保護者や上司は少ないと思います。また、生徒に何かを教えたいというモチベーショ ンがあるのなら、自然と謙虚になるものですし、挨拶も自然に出来る気がします。挨拶を「鏡」にして、自分自身を振り返ってみることには意義があるのではな いでしょうか。
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