数列の公式~導出の仕方~
1+2+3+4+・・・+50 を計算すると・・・?
1から50まですべて足すといくらになるのか?というのが今回の問題です。
この公式は確率や数え上げの問題のときにとても役に立つ公式なのでぜひ覚えてください。
ではこの公式を導いていきます。
S = 1+ 2+ 3+ ・・・+50 とする。 これはS = 50 + 49 + ・・・+ 1 と逆順に書いてもよいのでこの2つを足してみる。
S = 1 + 2 + 3 + 4 + 5 + ・・・+50
+) S = 50 + 49 + 48 +47 +46+・・・ +1
2S = 51 +51 +51 + 51 +51 +・・・+51
ここまでの変形は理解できましたか? つまり、1と50、2と49、3と48 という風に足してみるとすべて51になります。つまり、求めたいものの2倍(2S)はn個の51と等しいことが分かりました。
2S = 51n 以上より、S = 51n/2 となりました。
同じようにして1からnまでの総和を求めると、
S = n(n+1)/2 ( 総和=(最初の数+最後の数)×項数÷2)
となります。さて、この公式を使って一つ問題を解いてみましょう。
次の5角形の頂点を辺ですべて結ぶと辺の本数は全部で何本か?
右図のように5角形の頂点に1~5まで番号を振ります。
1から辺を作るには、1-2、1-3、1-4、1-5の4つできます。
次に2から辺を作ります。2-1は先ほど作ったので、2-3、2-4、2-5の3つです。
おなじようにしていくと・・・
4,3,2,1. つまり、全部で10本になります。
つまり、5角形だったら、 1~4までの総和を考えればよいので
(1+4)×4÷2 = 10 (本) となります。
ちなみに、n角形のときは1~n-1本の辺が書けるので、 (1+n-1)×(n-1)÷2 = n(n-1)/2 (本)
となります。
ここで注意ですが、n角形としたとき、凸多角形を仮定しています。つまり、へこみのない多角形です。そうでないと、対角線がうまく引けない状況が起こりえます。
では最後に・・・
それでは次に一つ問題を考えてみてください。
凸多角形において、n角形の対角線の本数の総和はいくつになるか?
<解答>
上述のように頂点をすべて結んだ時の辺の本数は n(n-1)/2 (本) です。
さて、対角線というのは n(n-1)/2 (本)から、外周の辺を除いた本数です。
外周の辺の本数はn角形ですからn本です。したがって、
n(n-1)/2 - n = n(n-3)/2 (本) となります。
正5角形であれば、n=5のときとなり、5本。これは対角線が星形になることと一致します。
ところで、上で1~nまでの総和がn(n+1)/2であることを証明したときに、
S = 1 + 2 + 3 + 4 + 5 + ・・・+50
+) S = 50 + 49 + 48 +47 +46+・・・ +1
2S = 51 +51 +51 + 51 +51 +・・・+51
としましたが、実は同じやり方で 各項がkずつ増えていくときの総和も求められます。各項がkずつふえていくとは 1+(1+k) +((1+k)+k)+・・・ となることです。このことを踏まえて1からnまでの総和を求めてみましょう。 項の数はmとします。
S = 1 + (1+k) + (1+2k) + (1+3k) + ・・・+n
+) S = n + (n-k) + (n-2k) + (n-3k) + ・・・ +1
2S =n+1 +(n+1) +(n+1) + +(n+1)+・・・ +n+1
S =m(n+1)/2 となり、ほとんど上と同じ式が得られます。
各項がkずつ増えていっても最後の項がn,項数がmと分かっていれば簡単に計算できます。
また、1+(m-1)k = n という関係式が成り立つので、この式でkを消去できます。
以上をまとめると、項と項の差がたとえkであっても、最初の数:1最後の数:n 項数:mとすれば
S = m(n+1)/2 ( 総和=(最初の数+最後の数)×項数÷2)
とできます!!!
では練習として1から2k-1までの奇数の総和を求めてみましょう。
S = k(2k-1+1)/2 =k^2(kの2乗) となります。 このように、2ずつ離れたものの総和もすぐに計算できます。
1+2+4+8+・・・+2^nの値は???
先ほどまで文字がたくさん出てきて疲れたかもしれませんが、今回はこれでラストなので頑張りましょう。
これは各項が2倍になっているものです。2^n は2のn乗を表します。
では求めていきましょう。
S = 1 + 2 + 4 + 8 +・・・ + 2^n …①とする。
これを2倍すると2S = 2 + 4 + 8 + ・・・+2^n + 2^(n+1) …②となる。
さて、②-①をしてみましょう。
2S = 2 + 4 + 8 + ・・・+2^n + 2^(n+1) …②
ー) S = 1 + 2 + 4 + 8 +・・・ + 2^n …①
S = -1 + +2^(n+1)
つまり、
S=2^(n+1)-1 ( 総和 = 2の(項数+1)乗ー1)
となります。
さて、では今回もひとつ問題を出しておきます。
S = 1+ 3 + 9 + ・・・+3^n の値は?
ではここで少し振り返ってみましょう。求めたいものをSとおいてこれまで足してみたり、引いてみたりと計算してみました。このSと置く操作、方程式の時と似ていませんか?また、Sとおくやりかたで今までいろいろな公式を導いてきました。このように、数学は 応用する力 が非常に重要です。まずはいろいろな考え方に慣れ親しんでください。そして、考える習慣をつけていきましょう!!!
さて、前回の問題は・・・
S = 1+ 3 + 9 + ・・・+3^n の値は?
でした。それでは解答です。
S = 1 + 3 + 9 + 27 +・・・ + 3^n …①とする。
これを3倍すると3S = 3 + 9+ 27 + ・・・+3^n + 3^(n+1) …②となる。
さて、②-①をしてみましょう。
3S = 3 + 9 + 27 + ・・・+3^n + 3^(n+1) …②
ー)S = 1 + 3 + 9 + 27 +・・・+ 3^n …①
2S = -1 + +3^(n+1)
つまり、
S={3^(n+1)-1} /2 ( 総和 = {3の(項数+1)乗ー1}/2 )
と求められました。
今までのまとめ
これまでいろいろな総和の公式を学んできました。今回はそれらを名前を決めて整理しましょう。
※以下、初項は1とします。
項がnずつ増えていく数の並びを 公差がnの等差数列 と呼びます。
n=4 の時は 1, 5, 9, 14, ・・・ という感じですね。
項がn倍になっていく数の並びを 公比がnの等比数列 と呼びます。
n=4の時は 1, 4, 16, 64, ・・・ という感じですね。
初項が1、公差がn、項数がmの等差数列の総和
最後の数というのが1+(m-1)d で表わせるので、
[1+{(m-1)d+1}]m/2
となります。 要するに、(初項+末項)×項数÷2 ということです。
日本語で書けば公差nが出てこないので、こちらの公式は日本語のほうが理解しやすいかもしれませんね。
・初項が1、公比がn、項数がmの等比数列の総和
最後の数というのがn^(m-1) で表わせるので、
{n^m -1}/(n-1) (ただし、nは1ではない)
となります。nが1のときは1,1,1,....の等比数列ですから、項数mなら 総和もmですね。
要するに、 (最後の数-1)÷(公比-1) となります。
では最後に練習問題として3問載せておきます。答えは下のほうに載せておくので計算方法を考えてみてくださいね。
①1 + 5 + 9 + 13 + ・・・+ (1+4×14) = ?
②20 + 22 + 24 + 26 + ・・・+ 100 =?
③3 +6 + 12 + ・・・+ (3×2^6) =?
②と③は 初項が1になっていない ので、先ほど紹介した公式をそのまま当てはめることはできません。どうしたらいいでしょうか? ヒントは公式を導いてきたやり方です。公式を導く過程を少し変えてあげれば求めることができます。公式を2回使ってもいいのですが・・・。ヒントはこのくらいにしておきましょう。
では頑張ってください!!!
①495 ②2460 ③381
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