はじめに
歴史は科目特性上,人物・できごと(背景)・順番(年号)を覚えなくてはいけません。極論すると年表を頭に入れてしまえばよいのですが,苦手な生徒にとっては,とてつもない作業となるのです。情報量が膨大すぎて処理しきれなくなっている生徒をよくみかけます。今回は公立高校受験に限定して「歴史」の授業について考えてみたいと思います。
まずは時代の順番を完璧に覚えさせる
「覚えさせる」という使役を使うといささか強引な印象もありますが,覚えさせなくてはいけません。歴史が苦手な生徒は,鎌倉時代が室町時代の前か後かあいまいなことが多いです。聖徳太子がどの時代の人物か,それすらあやしいです。先生の常識が生徒の「?」になっていて,完全にすれ違ってしまっている「残念な授業」をしばしばみかけます。
飛鳥→奈良→平安→鎌倉→(建武の新政)→室町→安土桃山→江戸→明治→大正→昭和→平成
まずはここからしっかりと定着させましょう。細かい話はあとです。歴史の教科書は時代ごとに細かい内容が列挙されているため,この全体の流れを教えるタイミングがなかなかないんです。
時代の順番に重要人物を乗せていく
時代の順番が定着できたら,次は時代ごとの重要人物を教えていきます。すべてを教える必要はありません。あくまでも最重要な人物(他の人物とからむ人物)に限定して定着させます。公立高校受験の場合,実はそれほど多くないんです。
飛鳥時代→聖徳太子,中大兄皇子・奈良時代→聖武天皇・平安時代→藤原道長,藤原頼道・鎌倉時代→源頼朝,北条政子・(建武の新政)→後醍醐天皇,足利尊氏・室町時代→足利義満,足利義政 (以下略)
もっともっと教えたくなりますが,ぐっとガマンです。苦手な生徒には,情報量を少なくして「骨組み」をしっかりと覚えてもらうことが最優先となります。
時代の順番と重要人物に年号とトピックを乗せていく
時代の順番とその時代の重要人物が覚えられたら,そこに簡単なトピックと有名な年号を付け加えていきます。キリがなくなりますので教え過ぎないように注意しましょう。
飛鳥時代→聖徳太子(推古天皇の摂政になる593),中大兄皇子(大化の改新645)・奈良時代→聖武天皇(平城京710)・平安時代→藤原頼道(平等院鳳凰堂1053) (以下略)
毎回の授業のたびに確認テストを行って,ここまでをしっかり定着させてみてください。時代ごとの細かい論点が驚くほど伝えやすくなっていきます。骨に肉がついていくように,どんどん知識を膨らませてくれるようになります。つながりが見えてくるんですね。テストの「年表の並べ替え問題」にもだんだんと強くなっていきますよ。全体像を見せながら,時代ごとの勉強をしていく。とっても大切なことだと思います。