頭で理解しているが教えにくい科目・単元の教え方
*塾講師の皆さんが教えるということを楽しんでもらう為の教え方のヒントやアイデアを提案していくさくラボ*
自分は頭でしっかり理解をしているがいざ説明をするとなるとできない・・・こんなことはよくありますよね?
これはイメージで理解するしかない・・・覚えるしかないんだよなぁ・・・そのような科目や単元を生徒に教えてほしいと頼まれた時あなたはどうやって教えていますか?今回は頭で分かってはいるが教えるには難しい科目や単元を教えるときの授業方法をご紹介していきたいと思います!
まずはじめに教えにくい場合で考えられるのは以下の2つに分けられると思います。
- 暗記科目や暗記するしかないもの
- 感覚で自分が理解しているもの
どうですか?心当たりがありませんか?ではここから具体的に説明しにくい科目や単元を教える時の授業方法についてご紹介していきます。
暗記科目や暗記するしかないもの
暗記科目、特に歴史などは今では使われない名前や見慣れない建造物などが数多く出てきますよね?日本史でいうなら土器だったり、仏像だったり・・・人の名前などは時代の流れ、出来事と共に説明すれば良いですが、土器の名前などは覚えるしかありません。
そんなときは、まず視覚を利用しましょう。つまり視覚を使って理解させるのです。教科書に載っている写真や、資料集を使っても良いでしょう。暗記するときに写真や映像を見ることには大きな暗記効果があります。
例えばあなたが生徒だとして、「縄文時代に作られたから縄文土器っていわれる。縄目の模様が特徴だよ。」と説明だけを受けてもおおよそのイメージはできるでしょうが縄文土器というものがどんなものか良く分かりませんよね?そこで、縄文土器の写真なりイラストを見せながら「ここをみて?縄目があるでしょ?これが特徴で縄文時代に作られたから縄文土器っていうんだよ。」そう説明をすれば先ほどの言葉だけの説明より圧倒的に記憶に残ります。
また写真などを使うことで、例で言えば縄文土器のもう一つの特徴である厚手というものもまとめて説明することができるのです。説明だけをだらだらするよりもより効率的に、そして確実に記憶に残すことができるのです。
では英語の単語や熟語などはどうするのか?つまり覚えるしかどうしようもないものはどのように教えたらいいのか?塾講師の立場からもなるべく「ここは覚えるしかないから覚えて!」とは言いたくないものですし、生徒の側からしたら覚えるしかないといわれても覚えられないから困っているのですから「覚えるしかないから覚えて」というのは講師側、生徒側どちらにとっても良い答えではないわけです。
じゃあどうするのか?覚えるしかないものはまず納得させることが重要です。人間は、なにかものを覚えるにはある程度の時間や労力が必要です。ですからなるべくなら多くのことを覚えたくはないわけです。つまり必要な情報だけを覚えておきたい。言い換えれば覚えなければならないものが必要な情報だと認識すれば自然と頭に入ってくるのです。ですから暗記しなければならないものが出てきたときは、それを覚えると得られるメリットと覚えないことによるデメリットを話すと良いでしょう。
受験生は特に効率よく勉強をしたがります。入試にでることが少ないなど、覚えなくても良いと認識した時点で一度覚えた単語なども完全に記憶から消してしまいます。逆に入試にでるなどの、覚えることによるメリットを話すと意地でも暗記してくれます。
小学生や中学生は特に暗記するものに理屈を必要とします。私も実際に、生徒にどうして数字を置き換えるときにxとしなきゃいけないのか?どうして「私」は英語で「I」なのか?など私たちが当たり前だと思っていることも、生徒達には納得がいかず質問されることがよくあります。
そんなときに「これはきまっていることだから」なんてありきたりの答えを言っても納得しないどころか頭がこんがらがって嫌になってしまう生徒が少なくありません。ではなんて答えたらよいのか。私が実際にそのような質問をされた時に一番生徒が覚えるしかないものを覚えるしかないと割り切って覚えてくれるようになった答えは・・・
「じゃあなんでおはようはおはようっていうの?どうして自分のことは私っていうの?あれじゃどうしてだめなの?」
と逆に生徒に質問をするのです。もちろんおはようにも由来はありますが、大切なのは自分が日常でつかっている言葉にも覚えるしかないものがある。そしてそれを自分は覚えて使っているということに気付かせることです。
そうすれば、覚えるしかないものにも覚える理由がある。そして使い道があるということが分かるのです。実際に小学生の子も「確かにそうだよね・・・。じゃあがんばって覚えてみる!」といってくれました。覚えられないのには理由があるのできちんとその理由をみつけて納得してもらえるようにするといいでしょう。
ではこれで塾講師のあなたが暗記科目を教えるときにすることは終わりか?
いいえ違います。
いくら暗記をしても人はすぐに忘れてしまうものです。だからこそ勉強をする場所である塾で、暗記したものを定着させる作業をする必要があるのです。具体的にはこまめにテストをすることです。
例えば単語帳の1章から3章を宿題に出したとします。まずは1から3章全ての単語を授業開始直後にテストします。そして間違えたところに印をつけて授業後にもう一度間違えたところのみテストをします。このように間違えたところだけを何度も繰り返します。二回テストをして間違えなくなったところはもう問題にいれないようにしましょう。
なぜなら覚えた単語までテストをしていては効率が悪くなってしまい、また覚えた単語をもう一度見直す労力があるなら何度も間違える単語を確実に覚えたほうが良いからです。しかし、生徒自身ではなかなかそこまで繰り返して定着させることは難しいので、講師のあなたが教える箇所が少ない暗記科目だからこそ協力してあげましょう。
大切なことは繰り返すことです。
では次に感覚で理解しているため生徒に説明をする時に伝えづらいときの授業方法をご紹介していきましょう。
感覚で自分が理解しているもの
自分が理解しているものの中には感覚で解いているものやイメージで理解しているものが少なからずありますよね?では自分が感覚で理解しているところの説明を求められたらどう説明しますか?イメージや感覚で理解しているものを相手に伝えるには2つの方法があります。
- 絵や図にしてみる
- 自分の説き方を分析して解き方の一例として紹介する
1の方法はとても効果的です。自分の頭の中にあるイメージを実際に紙に書くことで説明が大変しやすくなります。例えば感覚で理解している人が多いと思われる前置詞の微妙な使い分けなどは英語の辞書にのっている図などを使って説明すると分かりやすくなるでしょう。
2の方法は現代文によくあてはまると思います。現代文を解くときに全てテクニックだけで解いている人は少ないと思います。だからこそ、説明することは難しいのです。そのような場合はなぜ自分はこの答えを選んだのか、理由を見つけることが必要です。
それが解答の導き方と違っている場合もあるのであくまで自分の解き方、自分がどう判断してその答えを導き出したかを解答の一例として教えるようにしましょう。現代文などの必ずしも答え方が1つではない科目は、様々な解答方法を示してあげてその中から生徒が合うと思う方法を選べるようにしてあげると良いでしょう。
まとめ
ではここで今までお話したポイントをまとめておきましょう。
- 視覚を利用する
- 暗記することを納得させる
- 繰り返して定着させる
- 自分の中のイメージを具体化する
- 感覚で解いていたものは分析し解答方法の一つとして紹介。生徒の解答方法の幅を広げる
説明しにくい科目や単元は誰にでもあります。その時に「覚えるしかないから覚えて」とつまらない答えを言わない為にぜひとも上のポイントを意識して授業をしてみてください。きっと暗記物に困っていた生徒の助けになれるでしょう。最後まで読んでいただきありがとうございました。ではぜひとも教えることを楽しんでください!