【塾講師対象】現代文を”生徒と一緒に”要約しよう!【個別指導向け】

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  • 2015年02月04日公開
キーワード
論理
現代文
論説文
説明文

要約を教えようと思わないで、一緒に要約しよう!

現代文及び英語の長文の学習において、要約ほどに最強なツールはないと考えています。

なぜなら、要約を行う仮定で文章を深く読み込む訓練、それを整理する力、そしてそれを論理的に表現する力と、あらゆる能力を伸ばす可能性を秘めているからです。


しかし現場の塾講師が、要約を指導に用いることがあまりありません。それは、多くの塾講師が要約において、何が正解で何を不正解とすべきかを判断することに自信を持っていないからではないでしょうか。


今回は、「是非要約を授業で使ってほしい!」という思いを伝えるために記事を執筆しました。

要約を何のために行うのか?

まず前提として、大学入試で要約を問題として出題するところはそう多くありません(AO入試で問われる小論文は例外ですが)。

 

ゆえに、要約の技術を磨くことは入試の点数に直結するとは言いがたいのです。

 

ではなぜ私はあえて要約を紹介しているのか?

 

それは、要約こそが文章の理解を助けてくれる思考法だからです。

「文章をできるだけ短くしよう。でもできるだけ本質を削らないようにしよう」という思いの中で、要約を行うことは、文章を理解しようとする意識を高めてくれます。現代文の授業では、この目的で要約を宿題として課すことができます。

 

これは講師にとってはある意味救いとも言えます。

講師が生徒に要約を課したとしても、それを丸付けする必要はないのです。単に「考える訓練」として要約を課しているだけなのですから。

ただし、講師の役割はなくなったわけではありません。

生徒のしてきた要約を材料に、文章についての質問をする必要があるのです。

 

 

「君の要約には○○と書いてあるけど、これってどういうこと?」

「どうして○○ということがいえるの?」

こう問いかけてください。生徒がそのときに回答できたのであれば、それで合格です。回答できなければ、本文に戻って、答えを探してもらいましょう。


とにかく文章を深く読むこと。それが、国語の真髄です。

※※注意事項※※
この授業方法は集団指導には向きません。というのも、生徒の要約をベースに質疑応答を行うためです。個別指導をされている方は是非挑戦してみてください。

 目次 

  1. 内容理解のための要約の方法(読解)
  2. step1:まずはこの文章を”理解”してください。難しいところは口語に置き換えてあげましょう!!(読解)
  3. step2:同じこと言っている文はひとまとめ!論理の展開には注意!(要約)
  4. 要約は序章、さらに先がある(文章説明)
  5. なぜ要約は便利なのか?
  6. 私が行う要約を使った授業手順(詳細)

内容理解のための要約の方法

とはいえ、やはり講師も文章を要約できておいたほうがいいでしょう。生徒に聞かれたら困りますものね(でも最悪の場合、事前に答えを国語のできる講師に答えの作成を依頼しておくのが無難です)。


というわけで、指導の流れとしては読解→要約→文章説明となります。いきなり要約することはできませんので手順を踏むということです!!

読解・要約・文章説明の手順を簡単にまとめてみると以下のようになります。

  • 文章を理解するために、生徒が分からないところは口語で置き換えてあげる(読解)
  • →論理関係に注意し因果関係をまとめる(要約)
  • →実際に何を意味しているのかを説明してあげる(文章説明)

という流れです。


一番のポイントは、文章内の論理関係を適切に捉えながら読み進めること、となります


具体的な授業展開としては私の場合は以下のようにしています。

生徒にまず段落を要約させる

段落の内容を説明してもらう

質問する


それでは、下の練習問題で試してみましょう!!

例えば次の文章を読んでみてください。
モノの有用性は、その利用価値を構成する。でもこの有用性というのは、別になにやら勝手に湧いて出るものじゃない。それはその財の物理的な性質によって条件付けられていて、そういう条件と切り離しては存在し得ないものだ。だから利用価値とか、役に立つモノとかいうのは、鉄とか小麦とかダイヤモンドとかいう商品の物理的実体そのものだ。商品が持つこの性質は、その役にたつ性質を利用するのに必要な労働の量とは関係がない。利用価値を検討するときには、われわれは必ず絶対量を検討しているものと想定する。 『資本論』ー2003 山形浩生 プロジェクト杉田玄白正式参加作品 

この文章は資本論の一節の引用です。

※※注意事項※※以下この文章を引用する形で話を進めますが、私個人の見解とは全く関係がありません。あくまでも、文章問題として読解するという少し後ろに引いた姿勢から書いていますので、この文章の内容に賛否両論様々だと思いますが、そこは少しこらえて読み進めていただければ幸いです。。



それでは実際に具体的な手順を踏んでやっていきましょう。

step1:まずはこの文章を”理解”してください。難しいところは口語に置き換えてあげましょう!!

まずは読解しなければなりません。上に書いてある内容がどのようなものなのかを理解する必要があります。このとき、本当に現代文を読解する力が試されるのです。

実はこの”理解”がポイントなのです。理解とはすなわち、この難しい言葉を自分なりの言葉で表現できるということです。


例えば:有用性という言葉を自分なりの言葉に言い換えてみてください。あるいは利用価値というのも言い換えてください。


極端な話、一文目は、「モノは便利であればそれだけ値打ちがあるってこと」と言い換えることができますし、最後の文は「便利かどうかの基準マジ大事」と書き換えることできます。


ふざけているようですが、”理解”するためにはこれぐらい砕けた表現のほうが生徒にとっては分かりやすくよいでしょう。


ポイント:文章を読むときのポイントとして、頭のなかで口語かつ若者の言葉に置き換えることです。

そうすると、案外文章のロジックがすんなりと読めたりしますので、是非やってみてください。


step2:同じこと言っている文はひとまとめ!論理の展開には注意!

さて、ひと通り読解を終えたとしましょう。

頭の中で全ての文を口語にできたので、だいたいイメージはつかめているはずです。

今度は、文章の意味をできるだけ崩さないように、整理していきます。

要約するときの注意点は、同じことの繰り返しは削除すること。そして言葉の連環に気をつけることです。

 

ポイント1:繰り返しは削除すること

具体的に先の資本論の一説から考えてみましょう。

「それはその財の物理的な性質によって条件付けられていて、そういう条件と切り離しては存在し得ないものだ」
「だから利用価値とか、役に立つモノとかいうのは、鉄とか小麦とかダイヤモンドとかいう商品の物理的実体そのものだ」

これら2つ、すでに同じことを言っています。


接続語の「だから」を用いていますが、ほとんど前後はつながっていません

前者を一言でいうと、「財は物理的性質に条件付けられる」であり、後者は「利用価値は物理的実体そのものだ」です。結局同じことなんですね。財の利用価値は物理的実体そのものなのです。よってこれらはまとめてしまって構いません。

 

ポイント2:言葉の連環に気をつけること

次に、言葉の連環に気をつけること。これは、指示語に気をつけろというのとほぼ同義です。


「AはBである。そして、そのことはCである」という一文を考えてみましょう。

この「それ」というのが「AはBである」の内容を差します。

「そして、そのことはC」という内容が、全体として新しい情報を付与しているということになりますので、要約に載せなきゃいけないということになるのです。

実際に見てみましょう。

「商品が持つこの性質は、その役にたつ性質を利用するのに必要な労働の量とは関係がない。」

この文にある「この性質」というのは何を指しているでしょうか?

そうですね、先ほどまとめました「財の利用価値は物理的実体そのもの」を指します。



そしてそれについて新しい情報「その性質は、必要な労働の量とは関係がない」というのがあります。

これは全体としてまったく新しい情報なので、必ず要約に含めておきましょう。


どうでしょうか?同じ内容はまとめてしまうこと、言葉の連環(指示語)を気をつけるだけで文章はけっこうスッキリしませんかあとはこれをまとめるだけです。


・「モノの有用性は利用価値を作り出す」
but「有用性は勝手に作られない」→では何によって作られるのか?→「物理的実体そのもの」
・「物理的実体は労働の量とは関係がない」

これらを一言でまとめると、 

「財の利用価値は物理的実体に依る一方で、労働の量に関係がない」

になります。


要約は序章、さらに先がある

 さて要約はできたわけですが、この内容をあなたがきちんと説明できなければ意味がありません


というのも、授業での要約の目的は要約を作ることではなく、文章を理解しているのかを確認するためだからです。先生も事前に、用語の意味を確認しておくことが大切です。


「労働の量に関係がない」とはどういうことか?「物理的実体」とはなにか?それについて説明できるようになっていなければ、この文章を理解したということにはならないのです。

一つずつ説明してみましょう。

物理的実体

そもそも商品の価値というのは、それが実際にどのように使われるかによって決まります。どのような需要があるのかと言い換えてみてもいいかもしれません。

例えば小麦であればパンを作るのに役立つという価値があります。

一方で重い石は、つけものを作るときの重石として役に立ちます。小麦を重石にすることはできませんし、重石でパンを作ることはできません。

このように、商品そのものの物理的な特徴が、その商品の価値(何に使えるか)に影響を与えます。

労働の量に関係がない

例えば、小麦粉とダイヤモンドとを例に取って考えてみましょう。小麦粉の利用価値をパンの原料であること、ダイヤモンドの利用価値を装飾品、と定義します。小麦粉には、他には飼料にすること、ダイヤモンドは研磨製品にするなど、他に用途はあるかと思いますが、簡単のためここでは上記の定義に基づいて考えてみます。


この時、小麦粉をパンにするために必要な労働量(焼いたり、こねたり)とダイヤモンドを装飾品用に加工する労働量(削ること)とを比べて、ダイヤモンドの方が技術もいるし慎重にやらなければならないから、小麦粉と比べて利用価値が下がるということにはならないということです。

なぜなら、商品の利用価値は物理的な特徴に依存するからです。

たくさん頑張る必要があるから相対的に価値が下がる、ということはなく、あくまでもその物体自身の利用価値を絶対量で測りましょう、ということになります。

ということを説明できて、はじめて要約ができた、と言えます。

 

 なぜ要約は便利なのか?

以上、講師が要約する方法を紹介してきましたが、どうでしたでしょうか。


要約なんて難しい、できっこないと思う講師の方もいらっしゃるかもしれませんが、そんなに恐れなくていいです。要約を生徒に教える、のではなく、文章について生徒と一緒に考えるスタンスで臨んでみてください


例えば、先の資本論の例でいえば、生徒の要約の中に「物理的実体」というワードがあるならば、あなたが疑問に思えば純粋にそれについて生徒に質問していいのです。

生徒がそれについて回答できたら儲けもの。「なるほど!君頭いいね!」と褒めてあげましょう。


逆に回答できなければ、「先生もわからないんだけどこれってどういうことなんだろうね。一緒に考えてみよう」と言って、文章を2人で一緒に読解すればいいのです。



要約の目的はあくまで、文章について考えることです。

そのためには別に答えなど必要ありません。難しい文章を考えることに意義があるのですから。ちなみに私が要約を使った授業をするときは、以下のような手順を踏むことが多いです。



私が行う要約を使った授業手順(詳細)

最後にもう一度詳しく授業手順について紹介したいと思います。

生徒にまず段落を要約させる
段落を1行ぐらいで要約させてみてください。本当に簡単な文でいいので。先の例を使えば、「財の利用価値は物理的実体によって決められる」ぐらいまで書いてもらえれば十分です。

段落の内容を説明してもらう
今後は生徒に、段落にどのような内容が書いてあったのかを説明してもらってください。このとき、講師である皆さんは頭の中で話を整理しましょう。生徒が一生懸命説明している間に、その説明に論理の穴がないか、論理の飛躍がないか、定義が曖昧な言葉がないのかを確認します。

質問する
最後に質問を投げかけます。現代文は普通論理的であるはずです。論理の飛躍があると感じたところについて「なんで○○なの?」と質問してください。生徒は段落を読んでいますので、それをもとに答えることになります。加えて、要約にあった「物理的実体」のような、難しい言葉について質問するのもいいでしょう。これらの質問に生徒がきちんと回答できるのであれば十分に文章を理解しているということになります。

  

現代文はどれだけ問題を解いたかではありません。どれだけ文章と真摯に向き合い、深く読み込み、深く考えるかが勝負なのです。

要約を嫌う講師が多いですが、それは「教えなきゃ」という意識ゆえでしょう。

でも考えてみてください。あなたが若ければ、受験生が高3であれば、たかだか数年しか違わないのです。

生徒の方が現代文の理解が早いかもしれないと思いながら、文章を一緒に考えてみてください。 


 

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