教員をやめたいと感じたら?職業か職場かを見分ける3つの質問と休職の実態
「教員をやめたい」「もう無理かもしれない」。そう思っても、職場ではなかなか口に出せません。
辞めるかどうかを決める前に、原因が「教員という職業」にあるのか「今の職場」にあるのかを切り分けましょう。原因が分かれば、辞める以外の道も見えてきます。
この記事で確認するのは、文部科学省の調査にある、心の不調で休職している教員の数と休職後の実態です。そのうえで、原因を切り分ける3つの質問と、辞める以外の選択肢を紹介します。
この記事のポイント
・精神疾患による病気休職は年間7,087人。最多は30代
・休職者の46.4%が、その学校に着任して2年未満
・休職後は復職40.3%、退職20.6%。休職がそのまま退職につながるわけではない
・職業と職場のどちらが原因かは、3つの質問で切り分けられる
眠れない・食べられないといった状態が続いているなら、進路を考えるより先に医療機関に相談してください。この記事は医療上の助言ではありません。
目次
■1. 精神疾患による休職は年7,087人
■2. 原因を切り分ける3つの質問
■3. 辞める以外の選択肢|休職の実態
■4. 教える仕事を続けたまま環境を変える
■まとめ:決める順番
■転職の相談先
1. 精神疾患による休職は年7,087人。最多は30代
精神疾患を理由にした病気休職は、令和6年度で7,087人でした。全教育職員922,776人の0.77%にあたり、年代別では30代の2,118人が最多です。
病気休職者数の推移
令和2年度の5,203人(0.57%)から、令和5年度の7,119人(0.77%)まで増え続けました。令和6年度は7,087人(0.77%)で、ほぼ横ばいです。

・文部科学省「令和6年度公立学校教職員の人事行政状況調査」より
30代は人数も割合も最も高い
年代別の人数は、20代1,310人・30代2,118人・40代1,767人・50代以上1,892人です。在職者数に占める割合でも、30代が0.95%で最も高くなっています。20代は0.86%、40代は0.94%、50代以上は0.64%でした。
30代は、担任・部活・校務分掌を一通り任される時期と重なります。
校種・性別で見ると差がある
学校の種類別では、特別支援学校が0.99%で最も高くなっています(令和6年度)。小学校0.83%・中学校0.71%・高等学校0.58%と続きます。人数で見ると、最も多いのは小学校の3,458人です。
性別では女性が4,264人(0.87%)、男性が2,823人(0.65%)で、女性の割合がやや高くなっています。職種別では教諭等が6,547人(0.85%)と大半を占め、校長は28人(0.09%)にとどまります。
同じ理由で休職する教員は、2年続けて7,000人台です。では、原因は「職業」と「職場」のどちらにあるのでしょうか。次の章で切り分けます。
2. 原因は職業か職場か。3つの質問で切り分ける
原因が職業にあるのか職場にあるのかは、3つの質問で切り分けられます。その前に、休職者の着任年数を見ておきます。
休職者の半数近くが着任2年未満
休職を発令された教員の46.4%は、その学校に着任してから2年未満でした。6か月未満7.7%・6か月〜1年16.7%・1〜2年22.0%を合わせた数字です。

・文部科学省「令和6年度公立学校教職員の人事行政状況調査」より
理由までは調査に書かれていません。ただ、着任して間もない時期に休職が集中しています。職業そのものより「今の職場」が影響しているケースもある、と当編集部は考えます。
切り分けの3つの質問
次の3つの質問に、紙に書き出して答えてみてください。
・去年(前の学校・前の学年)も同じくらいしんどかったか
・しんどさの中心は「生徒との時間」か、それ以外か
・その環境は来年変わる見込みがあるか
1つ目で「去年はここまでではなかった」、2つ目で「生徒との時間は苦しくない」と答えたなら、変えるべきは環境です。どの学校でも生徒と向き合う時間そのものがつらいなら、教える仕事から離れることも選択肢に入ります。3つ目の答えは、今の職場で待つか動くかの判断材料です。
環境から一度距離を置く方法の一つが、休職です。次の章で、休職中の給与と休職後の実態を見ていきます。
3. 辞める以外の選択肢|休職中の給与と復職の実態
休職すれば、辞めずに職場から離れられます。給与は段階的に減りますが、すぐにゼロにはなりません。休職した人のうち、退職したのは約2割です。
休職中の給与はどうなるか
休んでいる間の給与は、時期によって段階的に下がります。最初の90日間は病気休暇として扱われ、給与は全額支給されます(日数は自治体により異なります)。病気休暇・休職とも、開始時と延長時に主治医の診断書が必要です。
90日を超えて病気休職に入ると、1年目は給与のおよそ8割になります。2年目以降は無給になるのが一般的です(自治体により異なります)。
無給になった後は、公立学校共済組合から給与のおよそ3分の2にあたる傷病手当金が支給されます。支給期間は傷病手当金が1年6か月、傷病手当金附加金が6か月で、合計最大2年間です。休職そのものは最長3年間認められています。
無給の期間も、傷病手当金で収入の一部は続きます。減っていく時期があることは、先に知っておきましょう。お金の不安だけを理由に、今すぐ辞めると決める必要はありません。
休職後に復職した人は約4割
休職者7,087人のうち、復職したのは40.3%、退職したのは20.6%でした(令和7年4月1日現在)。引き続き休職している人は39.1%です。休職がそのまま退職につながるわけではありません。

・文部科学省「令和6年度公立学校教職員の人事行政状況調査」より
令和6年度に新たに休職した4,239人に限ると、復職37.2%・退職19.3%でした。休職期間が長い人を含む全体(復職40.3%)より、復職の割合はやや低くなっています。
休職期間は、6か月未満が35.9%、6か月〜1年が29.3%です。休職期間が1年以内の人が、合わせて6割を超えます。
辞めた教員の理由は病気だけではない
休職を経ずに辞めた人も含めて見てみます。公立の小・中・高で、定年以外の理由で辞めた教員は12,681人でした(令和3年度間)。このうち精神疾患を含む病気が理由の人は1割程度で、転職が約3割、家庭の事情が約2割です。
復職後に再び休職する人は増えている
過去1年以内に再び休職した人の割合は、令和3年度の14.7%から令和6年度の18.1%へ上がっています。各自治体は「試し出勤」や復職審査会など、復職を支援する仕組みを整えています。
復職を決める前に確認したい3点
復職を選ぶなら、戻る先の条件が変わるかどうかを必ず確認しましょう。確認したいのは次の3点です。
・担当する学年・学級・部活は変わるか
・校務分掌の負担は軽くなるか
・支援体制は整っているか
同じ学級や部活にそのまま戻れば、前と同じ負担が待っています。試し出勤や復職審査会の段階で、この3点を人事担当者や管理職と話し合っておきましょう。
4. 教える仕事を続けたまま環境を変える道
教える仕事は続けたまま、働く場所を変える方法もあります。その一つが塾業界への転職です。
塾業界という選択肢
授業や生徒指導など、学校で積んだ経験は塾の仕事にも生かせます。ただし、勤務時間帯は夕方から夜が中心で、繁忙期もあります。求人票では、勤務時間帯・シフトの柔軟性・研修体制の3点を確認しておきましょう。
塾業界にも、繁忙期の忙しさや授業以外の業務など、大変な面があります。
教員の働き方が本当にブラックなのかは、教員はブラックなのか?時間・健康・制度の3つの数字で判定で確かめられます。塾講師の正社員の実際の負担は、塾講師の正社員はつらいのかでまとめています。
教員と民間の給与を比べたい方は、教員の年収はいくら?校種別の平均と民間との差が参考になります。
「辞めるかはまだ決めていないが、ほかの働き方も見ておきたい」という方へ。
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気軽にチェックしてみてください。
まとめ:決める順番は「体・原因・環境」
教員をやめたいと感じたら、次の順番で考えます。
・体の状態:眠れない・食べられない状態が続くなら、進路より先に医療機関へ
・原因の切り分け:3つの質問で、職業と職場のどちらが原因かを分ける
・変えられるかどうか:休職や塾への転職など、辞める以外の道も含めて考える
休職した人のうち、退職したのは約2割です。すぐに結論を出さなくても大丈夫です。まずは3つの質問を紙に書き出すところから始めてみてください。
転職の相談先
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教員から転職を考え始めたときの進め方は、教員からの転職で整理しています。応募書類の書き方は、教員の経験は履歴書にどう書く?で解説しています。
まずは今の状況を話すところから始めてみましょう。
参考文献
・文部科学省「令和6年度公立学校教職員の人事行政状況調査」より
・文部科学省「心の不調による病気休暇・病気休職中の手引き(とまり木)」より
・公立学校共済組合「傷病手当金/傷病手当金附加金の請求手続き(2026年9月確認)」より
・文部科学省「令和4年度学校教員統計(学校教員統計調査)確定値」より
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