"政党"をわかりやすく解説します!

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  • 2015年03月16日公開
キーワード
政党
55年体制
2大政党制

政党とはなにか?

皆さんは自分の投票した政党・候補者の結果に満足されているでしょうか。

衆議院選挙や参議院選挙で、有権者のみなさんならば、少なくとも1度は投票をしたことがあると思います。

 

実は、こうした選挙の後に、生徒、特に公民を教えている中学3年生から以下の様な質問を受けることが
あります。

 

「国会では話し合う人の数だけ考えがあるはずなのに、どうして同じ政党が議席をたくさん確保した
だけで”勝ち”になるのですか?」

 

投票箱

 

なかなか、鋭く、興味深い本質的な質問です。初めて学ぶ頭の柔らかい中学生だからこそ抱く事のできる
疑問といえるかもしれません。

 

確かに、衆議院議員であれば、480名の枠があるのですから、政党という枠を取っ払えば、480通りの政策への考え方があっても良いはずです。

 

しかし、現実にはそのようなことはまずありません。

 

政治では以下の様な言葉(格言)があります。


「政治は数、数は力」

 

大本の定義は上記のものですが、国や時代によってこれらは微妙に異なってきます。
よって、本稿では

現代における日本の「政党」は授業においてどのように言い表すことが出来るのかという点について、考えていただけるような情報を提供していきます。

 

目次

  1. 日本の政治形態
  2. 55年体制
  3. 「1と2分の1政党制」
  4. 2大政党制とは
  5. まとめ

 

日本の政治形態

まずは、日本独特の政治形態を遡るところから話を始めましょう。


時計の針を1950年に戻します。朝鮮戦争が勃発し、翌年サンフランシスコ講和条約を締結し、日本は間接統治からの復帰を果たします。


このころから、東西冷戦がはじまっています。


本稿は歴史の指導法の記事ではないので詳述は避けますが、

 

簡単に言えば「アメリカ」資本主義陣営につくのか、

 

「ソ連、中国側」共産主義陣営につくのかというのが

 

国内でも、大きな2極化を生むことになります。

 

対立

 

 授業で扱う際には、戦後長らくその独特の形態を保ってきた55年体制の背景に、こうした社会情勢があったことを確認しましょう。

 

55年体制とは?

1950年代は何と言っても、

 

55年体制に代表される保守、革新が激しくせめぎ合いをしている年代であったと総括されています。

 


例えば、この時期MSA軍事協定や自衛隊創設などの”再軍備”の政策が推し進められました。

戦後改革からの方向転換の是非をめぐる議論がこの時期非常に沸騰したのです。



こうした社会的背景の中、日本では「55年体制」が出来上がります。

日本では「自民党」と「社会党」という2大政党制の形がこの時から出来上がります。

 

先述したように、政党とは自らが政治に反映させたい主張を通すために、

 

同じような考えを持つ政治家で集まったグループのことを指しています。

 

この場合、

自民党:「アメリカ側資本主義陣営につきましょう。しかし、憲法に関してはアメリカが決めたものだか
     ら変えていきましょう。」
社会党:「ソ連・中国側社会主義陣営につきましょう。しかし、憲法に関しては今のものを大切にしてい
     きましょう。」

 

2つの政党が掲げる対立の象徴的なものが上記の考え方です。

こうして、戦後の政治体制はこの2つの政党を中心として展開されていきます。

 

まず、大きなテーマとしては憲法改正をめぐり、選挙でバトルを繰り広げていたことが挙げられます。

 

「1と2分の1政党制」

生徒の中には忘れている子もいるかもしれないので、現在も連日大きな問題となっている憲法改正について
まず復習しましょう。

 

憲法改正は、国会議員の3分の2以上の賛成がなければ発議できないことになっています。

 

 

以下の表をご参照ください。

2院

 

つまり、憲法を改正したい自民党は、

衆議院であれば3分の2=320、

参議院であれば、3分の2≒160以上

の議席を確保することができれば、憲法改正を発議できる、ということですね。

 

 

では、視点を変えて生徒に以下の様な発問をしてみましょう。

 

「社会党が憲法改正を阻止するためには、どうすれば良いでしょう?」

 

自民党に衆議院議員であれば320、参議院議員であれば160以上議席を確保されると発議されます。


つまり、逆に捉えると社会党は残りの数以上の議席を確保していれば、阻止し続けることが出来ます。

 

 

具体的に数字を示します。

 

衆議院議員であれば160、参議院議員であれば80位上の議席を確保し続ければ良いということなのです。

 

以上のように、冒頭で述べた「政治は数、数は力」というのは、このように

 

一つの側面に焦点を当て、具体的な数字を提示することで生徒は理解しやすくなります


この発問は、政党の意味を考えるにあたってうってつけの発問なのでおすすめいたします。

 

もう1点、数を用いた説明ができます。


2政党のその後の考えを追って見ると、

社会党は次第に「政権は取れずとも、3分の1位上を取れさえすれば憲法改正は阻止できる」

 

自民党も「憲法改正は出来ずとも、政権を握れるよう過半数の議席はずっと維持し続けよう」


というようになります。自民党が3分の2に届かずとも近い議席を確保していたのに対し、社会党は何とか
3分の1位上の議席を確保する状態になりました。


これを「3分の2:3分の1」⇨「(自民党)1と(社会党)2分の1体制」と呼びます。

 

2大政党制とは

2大政党制を説明する前に講師の皆さんに考えていただきたいことがあります。


戦前の世界の歴史や、現代の社会を振り返ってみてください。

 

独裁と呼ばれる国にはある共通点がるのですが、皆さんはこれが何かイメージがつくでしょうか?

 

それは「1大政党制」を採用している国家です。

独裁

「1大政党制」では、野党の存在を認めません。野党の存在を認めないというのはどういうことか。


それは、自分たちのやり方に対して、批判する存在を作らない=思い通りに政治を執る体制である
というのを意味しています。

 

民主主義を採用している国家は必ず、「2大政党制」つまり、野党の存在を認めています。


今の日本では当然のようにこの制度が浸透していますが、野党の存在を認めると、どのようなメリットがあるでしょうか?

政治の具体的な場面を思い出してみましょう。

 


政治論になるのですが、あらゆる政策には多面的なものの見方が必要になってきます。

 

多くの人が生活する国家には、多様な価値観、利害関係が存在するからです。

 

その中で、政策を実行すると利益だけではまとまらない問題も発生してきます。

問題

例えば、現在まさに話題になっている消費税増税の問題で考えてみましょう。

 

増税による負担は増えても、それによって国家の経済が潤い、公共サービスを受けることができ、それは全体の利益になる。



一見良いことづくしのようにも見えるのですが、

 

所得が低い人にとっての3%の増税はどう見えるでしょうか?

 

「高額所得の人と同じ税率を課されるのは厳しい」という反発も当然ありうるわけです。

 

議論

 

たった1つの政策を巡っても多様な利害関係が渦巻いていることがお分かりいただけると思います。

 

 

このように、政権与党の提案する政策に、野党は疑問符を投げかけることで、

「国民にとって本当に有益なのは何か」

 


世論を受けつつお互いの主張の間で妥協点を見つけることで一部の人だけの利益にならず、全体に効果のあるような政策を吟味するのです。

 


こうした吟味を可能にするものが「二大政党制」であるということができるわけです。

 

まとめ~政党を考える~

 ここまで、政党という切り口から日本の政治を概観してきましたが、いかがだったでしょうか?


政党というのは何故議席数を重視するのか、その根本的背景を見るためには、一つの政策を決議するまでのプロセスを追って見ることで説明できることがお分かりいただけたと思います。

 

 

最後に1つ政党を授業で取り扱う現代的意義を述べて結びとします。

 


つい最近、2度の大きな政権交代が起こりました。

投票

政治学の分野からは、この政権与党の変化が、「政党に緊張感をもたせる」という点で
とても意義があったと評価しています。

 

もし、現行政権に不満があるならば、選挙でその与党を外せば政権交代を起こすことが出来ます。


現在の野党を政権与党にすることだって出来るのです。


国民にとって政治は自分たちが握っているということを把握できる契機だったといえるでしょう。

 

 

ただ、ほんとうに大事なのはここからです。

 

今度はまた、本当に自分たち国民に有効な
政策を打ち出せているか。

 

つまり、

国政を厳しく監視するためのトレーニング
をするのがこの政治を学ぶ意義であり、政党を考える意義だと思うのです。

 

講師の皆さんも本稿をきっかけに生徒が政党を学ぶ意義を考えてみていただけたら幸いです。

 

以上です。ここまで長文ご精読ありがとうございました!

 

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記事執筆者:スペンサー

<経歴>
大手塾講師歴2年半。集団指導、個別指導をともに経験し教育実習のため退塾。
大学卒業後すぐに、教員になることを志していたが、専門分野である歴史学の研究が楽しく大学院に進学することを決定。現在は大学院2年生。日本近現代史を専門フィールドにして日々研究と奮闘中。
<記事執筆>
日本史の指導法を中心に、大学生活や就職活動の応援もできるような記事を配信できるよう執筆していきたいと思います。

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