難解な対義語「演繹」と「帰納」をわかりやすく教えます!〜指導法付き〜

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  • 2014年09月28日公開
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演繹
帰納
対義語

難解な対義語「演繹」と「帰納」の意味

 

今回は筆者が新人塾講師時代に頭を抱えさせられた「演繹(えんえき)」と「帰納(きのう)」という2つの言葉についてお話していきます。

 

語義説明は国語講師の重要な役目ですが、「演繹」と「帰納」のような抽象的で難しい言葉の説明を、辞書の文面通りに行っても子供たちはあまりピンと来ません。

 

 そこで、ここでは誰にでも分かりやすく「演繹」「帰納」の意味について解説していきたいと思います。




辞書を引いても分からない曲者、「演繹」と「帰納」

 

中学受験の国語で頻出する分野の一つに「類義語・対義語」があります。

 

 

類義語とは、「興味ー関心」といった似た意味の単語、

 

対義語とは、「自然ー人工」といった反対の意味の単語ですよね。 




この対義語を答えさせる問題で、たまに見かける曲者、それが「演繹」と「帰納」です。


繹」という漢字が常用漢字外なので、たいてい記号で選ばせる形式で出題されます。



受験勉強のテクニック的には、こんなものはただ丸暗記させればいいじゃないかと思われる方がいらっしゃるかもしれません。




ただ、子供たちはそう簡単に納得しません。彼らは至って無邪気に聞いてきます。「先生、演繹と帰納って何ー!?」と。


たとえ私がキャリア2か月のうら若き新人講師だったとしても、容赦をしてはくれませんでした。


「分からない」なんて言えるわけがありません。



なんなら今の今まで「演繹」を「えんたく」と呼んでいたなんて、言えるはずがありません…。

 

当時の私はとっさにこんなことを口走りました。

 

 

んーこの文脈だったらこの意味で合ってるのかな?ちょっと辞書で確認するね(汗)」

 

我ながら何という白々しさ

 

しかし、分かっていないことを生徒に悟られるわけにはいきません。

 

 

ちなみに、こういった「分かっているけど、一応確認する」という言い方は、想定外の質問が飛び出したときの魔法の言葉です。

 

覚えておいて損はないと思います。

 

 

冷や汗をかきかき電子辞書を繰ると、こういう説明が出てきました。

えん‐えき【演繹】推論の一種、一定の前提から論理規則に基づいて必然的に結論を導き出すこと。通常は普遍的命題(公理)から個別的命題(定理)を導く形をとる。数学の証明はその典型。演繹法。
 き‐のう【帰納】推理及び思考の手続の一つ。個々の具体的事実から一般的な命題ないし法則を導き出すこと。特殊から普遍を導き出すこと。導かれた結論は必然的ではなく、蓋然的にとどまる。



なお冷や汗が止まりません。


これではますます分かりませんね。

 



では、どう教えれば良いのか?



当然ですが、正しく且つ分かりやすく教えるためには自分が理解していないと話になりません。



そこで、先ほどの電子辞書の説明を参考に、「演繹」「帰納」の語義を咀嚼していきましょう。



演繹とは

 

演繹とは、「○○だから△△である」といった理論をつなぎ合わせていく、いわば三段論法です。

 

 

例えば、

「コラーゲンはお肌に良い」(普遍的命題)

→「鶏肉にはコラーゲンが多く含まれている」

→「鶏肉はお肌に良い」(個別的命題)

というような感じです。

 

この普遍的命題とは、いわゆる話の前提の部分であり、これが正しければ個別的命題も必然的に正しくなります。

 

 

要は一般的に言われている事柄を矛盾のないようにいくつか結びつけて、新しいアイデアを出すようなイメージですね。

 

間違った前提で話を進めてしまうリスクがありますが、理論的で説得力のある説明ができます。

 

 

 

帰納とは

 

多くの観察事項から共通点を見つけ出し、それをまとめて結論を出すという方法です。

 

統計学で言うところの因子分析に近い考え方です。

 

たとえば、

「Aさんは昨日、彼女にフラれた」

「Aさんは今朝、iPhoneを床に落として画面が割れた」

「Aさんはさっき、おろしたてのスニーカーで犬の糞を踏んだ」

これら3つの事実には共通する要素がありますよね。

 

3つともAさんにとってイヤな出来事が起こっています。

 

そこで、「Aさんは今、とても落ち込んでいる」という結論を導き出すのが帰納法です。

 

結論が推論(=蓋然的)レベルに留まってしまいますが、結果重視の相手には重宝される論法です。

 

 

 

リアリティのあるたとえ話で説得力アップ!

  

では、これらを小学生に分かりやすいように説明していきます。

 

先ほど申し上げた通り、ややこしい言葉を説明する際には実在の生徒や講師(自分)などの名前を挙げたたとえ話が効果的です。

 

 

今回は対義語の説明なので、同じたとえ話を使って対比させながら説明するとよいでしょう。

 

私の担当していたクラスは非常に宿題をやって来ない生徒が多かったので、それを戒める意味を込めて次のようなたとえ話をしました。

 

 

「演繹っていうのは、みんなが知っていることを組み合わせて、必然的に導ける考えを出すことだよ。

 

例えば、『宿題をサボると先生に叱られる』というのはみんな知っているよね。

 

 

『○○くんが宿題をサボった』これもみんな知っているよね。

 

この2つから、『○○くんは先生に叱られる』という結論が出るよね!

 

だから、さっき先生は○○くんを叱ったんだよ。

 

先生はイライラして叱ったわけじゃなく、ちゃんと演繹的に叱ったんだ。」

 

 

「帰納っていうのは今の逆だよ。

 

さっきは『宿題をサボると先生に叱られる』ことをみんなが知っている前提で話を進めたよね。


帰納っていうのは、みんながそれに気づく過程を表しているんだよ。


さっきの逆だから、最初はみんなが『宿題をサボると先生に叱られる』ことを知らないと仮定するよ。


○○くんがさっき宿題をサボってきて叱られたよね。


で、来週は△△さんが宿題をサボって叱られるとする。そのまた来週は、□□くんが宿題を忘れて先生に叱られる。


そうすると、みんなは『最近叱られた3人って、全員宿題を忘れてたな…っていうことは、宿題を忘れたら先生に叱られるんじゃないか?』と気付くよね。


これが帰納法の考え方だよ。


色々な事実を重ねて結論を出していくから、理科の実験に近い考え方だね。」



まとめ

 

 

いかがでしたでしょうか。演繹や帰納という言葉は、中学に進学したあと数学の分野でも使われます。

 

いわゆる数学的帰納法というやつですね。

 

ここらへんの話は筆者の専門分野から少なからず逸脱するので深くは言及しませんが、一般的に数学的帰納法は演繹的であると言われています。

 

数学的帰納法は、ある式を提示し、その式が正しいという仮定の下で証明を進めていくので、演繹的であることは自明ですよね。

 

 

数学的帰納法と演繹法については
「わかりやすく教えよう!数学的帰納法と演繹法」にあります!

 

 

 

 

そもそも演繹と帰納の語義説明なんて中学入試で問われるの?と疑問を抱かれる方が多いと思います。


まず問われないでしょう。

 

しかし、問われないからといって無視していいというわけではありません。先生に質問をして、「それは受験には出ないからどうでもいい」と一蹴されれば、当然受験勉強に対するモチベーションも下がってしまいますよね。

 

 

また、語義は問われなくても読解問題でお目にかかることは十分に考えられます。

 

中学受験の読解問題では意外と難しい論説文が出題されることがありますからね。難しい言葉にはたいてい注釈が付いていますが、最初から知っているのと注釈を読むのとでは問題を解く上でのスムーズさも安心感も大きく異なってくることは間違いないでしょう。

 

そう考えると、言葉はひとつでも多く知っておいたほうがいいに決まっていますよね。

 

 

今回のポイント

 

 

分からない質問が飛んで来たら、「確認してみるね!」

 

「分からない」は禁句です。

生徒たちからすれば、先生だから分からないはずがないんです。

 

だから、質問の内容自体についてではなく「自分の中で答えはあるんだけど、この場合これで合っているのか?」とか「分かりやすく説明するにはどうすればいいのか?」とかいう、テクニカルな面について悩んでいるふりをして、解答集を見るなり辞書を引くなりしてあげてください。

 

 

たとえ話は生徒や講師を主人公にしたストーリー展開で!

 

 

たとえ生徒の名前を出すことによって、多少気が散っていても一気に自分の話に耳を傾けさせることができます。

 

これは、名前を出された瞬間に生徒が「あれ、オレ(わたし)当てられたのかな…?」と思い込むからです。

 

この効果をうまく使い、「静かにしなさい」とか「集中しなさい」などという言い古された文句を使わなくとも、生徒たちの気持ちを引き締めることができます。

 

 

また、先述のように生徒をじっくり観察することができていれば、こういったたとえ話ひとつでかなり教室内を和やかなムードにすることができます。

 

 

受験勉強は緊張感も大切ですが、あまりにもピリピリしていると授業をする側も受ける側もやりづらいものです。

 

 

上手な授業は保護者の心もつかむ

 

 

最後に、今回は生徒との接し方がメインの話でしたが副次的に得られる効果についてもお話します。

 

授業でした話が生徒の心に響くと、彼らはそれを家でも話してくれます。

 

演繹と帰納の話をした翌週、私は3人の保護者さんから連絡帳を通じて「とても分かりやすい説明だったと息子(娘)が喜んでおりました。ありがとうございます。」といった感謝の言葉をいただきました。

 

 

上手な授業で生徒の心をつかみ、夕飯時の話題までかっさらうことができれば、これこそ講師冥利に尽きるというものではないでしょうか。


悩める国語講師の皆様におかれましては、ぜひ拙稿で紹介したポイントを様々なシーンでご活用いただければと思います。


 

最後までご覧いただきありがとうございます。

 

 

 

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