教員の給料はいくら?給与との違いと残業代が出ない仕組みを解説
給与明細には「給料」と「手当」の欄が並んでいます。それぞれが何で決まるのかは、職場でもあまり説明されません。
結論から言うと、公立の小・中学校教員の平均給料月額は353,632円です。諸手当を足した平均給与月額は411,965円で、両者には約6万円の差があります。
この記事では総務省の調査と法令をもとに、「給料」と「給与」の違い、残業代が出ない仕組み、給料の上がり方を整理します。
【この記事のまとめ】
- 平均給料月額は小・中学校353,632円、高校370,300円(総務省・令和6年4月1日現在)
- 「給料」と「給与」は別の数字で、差は6万円近い
- 残業代は出ない。代わりに教職調整額が給料に含まれている
- 教職調整額は令和7年の給特法改正で、令和12年度までに10%へ引き上げられる
目次
■教員の「給料」と「給与」の違い
・平均給料月額は353,632円、給与月額は411,965円
・諸手当58,333円の中身
■教員に残業代が出ない仕組み
・教職調整額は令和12年度までに10%へ
■教員の給料はどこまで上がるのか
■よくある質問
■まとめ:給料は「額」より「何と連動するか」
教員の「給料」と「給与」の違い
「給料」は給料表で決まる基本の部分で、「給与」はそこに諸手当を足した合計です。求人票や記事の金額を見るときは、どちらの数字なのかを先に確かめてください。
平均給料月額は353,632円、給与月額は411,965円
総務省が令和6年4月1日現在で調べた結果では、同じ表にこの2つの数字が並んでいます。
表:職種区分別の平均給料月額・諸手当月額・平均給与月額(令和6年4月1日現在)
| 職種区分 | 平均給料月額 | 諸手当月額 | 平均給与月額 |
| 小・中学校教育職 | 353,632円 | 58,333円 | 411,965円 |
| 高等学校教育職 | 370,300円 | 62,841円 | 433,141円 |
| 一般行政職 | 317,951円 | 84,810円 | 402,761円 |

出典:総務省「令和6年地方公務員給与実態調査結果等の概要」第9表(令和6年4月1日現在)より
給料には、次の章で説明する教職調整額も含まれます。地域手当・扶養手当などの上乗せ分が「諸手当」で、両方を足したものが「給与」です。
求人票や記事の金額が給料なのか給与なのかで、月6万円近く差が出ます。
諸手当58,333円の中身
諸手当月額58,333円は、扶養手当・地域手当・住居手当・特殊勤務手当など、毎月支払われる手当の合計です。調査上の諸手当には時間外勤務手当も含まれますが、公立学校の教員には支給されません(次の章で説明します)。
ボーナスにあたる期末手当・勤勉手当は諸手当に含まれず、年2回、別枠で支給されます。
住居手当は、自宅に住む教員の多くが対象外です。全地方公共団体の91.8%が、自宅に係る住居手当をすでに廃止しています。

出典:総務省「令和6年地方公務員給与実態調査結果等の概要」第8表の注記より
教員に残業代が出ない仕組み
公立学校の教員には、時間外勤務手当(残業代)が支給されません。給特法第3条第2項が、教育職員には時間外勤務手当と休日勤務手当を支給しないと定めているためです。
同法第6条は、正規の勤務時間を超えて勤務させられる場合を、政令の基準に従って条例で定めた場合に限っています。時間外勤務を命じる場面そのものが、法律で絞られている形です。
残業代の代わりに支給されるのが、一律の教職調整額です。総務省の調査の注記でも、教職調整額は「平均給料月額」に含まれると明記されています。
教員の給料が一般行政職より35,681円高く見えるのは、この教職調整額が理由の一部です(第9表より編集部算出)。一般行政職なら手当として外に出る残業代の分が、教員では給料の中に組み込まれています。
教職調整額は、働いた時間に応じて増えません。在校時間が9時間の日も13時間の日も、支給額は同じです。
例外として特殊勤務手当があり、部活動の指導や引率など特定の業務に一定額が上乗せされます。ただし毎月の給料には組み込まれておらず、金額も一般的な残業代の水準には届きません。
高校の特殊勤務手当の金額は、高校教師の年収の記事にまとめています。残業代が出ない制度が負担につながる背景は、教員はブラックなのかを検証した記事で扱っています。
教職調整額は令和12年度までに10%へ
一律4%だった教職調整額は、令和7年の給特法改正で初めて見直されました。1971年(昭和46年)制定の給特法が定めた「給料月額の4%」を、令和12年度までに段階的に10%へ引き上げます。
施行日は令和8年4月1日です。一部の規定は、公布の日または令和8年1月1日から先に始まっています。
小・中学校教育職の平均給料月額353,632円で計算すると、4%は14,145円、10%は35,363円です。給料月額が同じままなら、月あたり2万円強の差になります(第9表の給料月額から編集部が試算)。
引き上げは段階的なので、令和12年度にかけて少しずつ上がります。一般行政職との給料の差35,681円も、率が上がるにつれて広がっていく計算です。
教職調整額は退職手当を計算するときの基礎にも含まれるため、率が上がれば退職手当の額にも影響します。
ただし、時間に連動しない定額の仕組みは変わりません。率が2倍以上になっても上がるのは水準だけで、働いた時間に比例して増えるわけではありません。
教員の給料はどこまで上がるのか
教員の給料は、経験年数に応じて号給が上がることで増えていきます。ただし同じ級の中では号給の上昇がいずれ頭打ちになり、その先は主幹教諭・教頭・校長などへの昇任が必要です。
高等学校教育職の給料370,300円が、小・中学校教育職353,632円より16,668円高いのも年齢の影響です。平均年齢が44.7歳と41.5歳で、3.2歳の差があります(第9表より編集部算出)。
自分の給料がどこまで上がるかは、勤務先の自治体の給料表で確認できます。見るのは「1号上がると何円か」と「今の級の最高号給はいくらか」の2点です。
号給の上がり方や人事評価の反映は、教員の給料が上がる仕組みの記事で詳しく解説しています。
民間と比べるときは、全体平均478万円ではなく正社員の545万円を基準にしてください。内訳は教員の年収の記事にまとめています。
塾業界の給与制度は企業ごとに設計が違うため、「塾に行けば上がる」とは言えません。ただし上がり方が一律ではないぶん、求人ごとに確かめる価値はあります。
職種ごとの給与テーブルは塾の5職種を徹底比較に、年収の内訳は塾講師の年収の内訳にまとめています。
よくある質問
Q. 教員の「給料」と「給与」は何が違いますか?
給料は給料表で決まる基本の部分で、教職調整額も含まれます。給与は、そこに地域手当・扶養手当などの諸手当を足した合計です。小・中学校教育職の平均では、給料353,632円に対して給与は411,965円です。
Q. 教員には残業代が出ないのですか?
公立学校の教員には出ません。給特法第3条第2項で、時間外勤務手当と休日勤務手当は支給しないと定められています。代わりに、教職調整額が給料に含まれる形で支給されます。
Q. 教職調整額はいつ10%になりますか?
令和7年の給特法改正で、令和12年度までに段階的に10%へ引き上げると定められました。施行日は令和8年4月1日で、一部の規定はそれより先に始まっています。
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まとめ:給料は「額」より「何と連動するか」
教員の給料をめぐる疑問は、次の3つに整理できます。
- 「給料」と「給与」の違い:給与は給料に諸手当を足した合計で、差は約6万円
- 残業代が出ない仕組み:教職調整額が給料に含まれ、働いた時間とは連動しない
- 給料の上がり方:号給で上がり、級の上限から先は昇任が必要
給料に不満があるなら、それが金額なのか、上がり方なのか、時間と連動しないことなのかを分けてみてください。仕事そのものが合わないのか、今の職場が合わないのかを見分けたいときは、教員をやめたいと思ったときの記事が参考になります。
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参考文献
・総務省「令和6年地方公務員給与実態調査結果等の概要」第8表・第9表とその注記、参考4-①(令和6年4月1日現在)より
・e-Gov法令検索「国立及び公立の義務教育諸学校等の教育職員の給与等に関する特別措置法」第3条・第6条(2026年9月時点)より
・衆議院「法律第七十七号(1971年)」より
・文部科学省「給特法等一部改正法の施行に伴う留意事項について(通知、令和7年9月26日)」より
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