教員はブラックなのか?時間・健康・制度の3つの数字で検証
「自分の学校だけがおかしいのか、教員という仕事がそもそもこうなのか」。SNSや知恵袋の体験談を読むほど、どちらなのか分からなくなります。
教員がブラックかどうかは、①時間 ②健康 ③制度の3つの数字で確かめられます。
この記事では、直近の公的統計で3つを順に確認します。そのうえで、業界全体の問題か、今の職場の問題かを切り分けます。
この記事の要点
- 週60時間以上勤務の教員は中学校で36.5%(6年前の57.7%から改善)
- 精神疾患による病気休職は7,087人で、最多は30代
- 休職者の46.4%は、その学校での勤務が2年未満
- 公立の教員には残業代が出ず、働いた時間に関係なく一律の教職調整額が支給される
- 教職調整額は改正給特法により、令和12年度までに10%へ引き上げられる
目次
■1. 時間|中学校は3人に1人が週60時間以上
■2. 健康|精神疾患による休職は7,087人
■3. 制度|残業代の代わりに一律の教職調整額
■4. あなたの職場はどこに当てはまるか
■まとめ:3つの数字で自分の職場を確かめる
■相談窓口
1. 時間|中学校は3人に1人が週60時間以上
週60時間以上勤務の割合
週60時間以上勤務する教員の割合は、中学校36.5%・小学校14.2%です(文部科学省「教員勤務実態調査(令和4年度)」)。
部活動・授業準備・保護者対応が積み重なった結果なので、どれか一つの業務を減らすだけでは下がりません。

・出典:文部科学省「教員勤務実態調査(令和4年度)集計【確定値】」より
ただし6年で大きく改善している
平成28年度は、中学校57.7%・小学校33.4%でした。6年間で中学校は21.2ポイント、小学校は19.2ポイント下がっています。
「教員はブラック」という話を見かけたら、どの年の数字かを確かめてください。平成28年度の数字なら、今より重く見えています。それでも中学校では、3人に1人強が週60時間を超えて働いています。
中学校は土日の負担も大きい
平日の在校等時間は、中学校11時間1分・小学校10時間45分です。正規の勤務時間は1日7時間45分(週38時間45分)なので、どちらも毎日3時間以上長く学校にいます。
土日の在校等時間は、中学校が2時間18分、小学校が0時間36分です。中学校の2時間18分のうち、1時間29分は部活動が占めます。休日も学校に出る点が、中学校ならではの負担です。
部活動や土日の負担の内訳は、「中学教師の年収」の記事にまとめています。
2. 健康|精神疾患による休職は7,087人
病気休職者数と年代
精神疾患を理由に病気休職した教育職員は7,087人で、全教育職員922,776人の0.77%です(文部科学省・令和6年度)。年代別では、30代が2,118人で最多です。

・出典:文部科学省「令和6年度公立学校教職員の人事行政状況調査」より
休職者の46.4%は勤務2年未満
休職を発令された時点で、その学校での勤務が2年未満だった人は46.4%(3,293人)です。休職者の半数近くを、着任から日の浅い人が占めています。

・出典:文部科学省「令和6年度公立学校教職員の人事行政状況調査」より
校種によっても差がある
在職者に占める休職者の割合は、特別支援学校0.99%・小学校0.83%・中学校0.71%・高等学校0.58%です(令和6年度)。同じ教員でも、校種によって数字が変わります。
年代別・校種別の詳しい内訳や休職後の実態は、「教員をやめたいと思ったら」で解説しています。
3. 制度|残業代の代わりに一律の教職調整額
働いた時間は支給額に反映されない
公立学校の教員には、残業代(時間外勤務手当)が支給されません。代わりに支給されるのが、給料月額の4%にあたる教職調整額です(給特法)。総務省の調査でも、教職調整額は平均給料月額に含まれると注記されています。
教職調整額は、在校等時間が長くても短くても同じ額です。1章で見た週60時間以上の勤務も、支給額には反映されません。がんばっても報われないという感覚は、この仕組みから生まれやすくなります。
教職調整額が給料にどう組み込まれているかは「教員の給料の仕組み」、年収全体の水準は「教員の年収」で解説しています。
制度は法改正で変わり始めている
令和7年6月に成立した改正給特法により、教職調整額の率は令和12年度までに10%へ引き上げられます(令和8年4月1日施行)。
文部科学省の通知(令和7年9月26日)では、時間外在校等時間を減らす数値目標も示されました。教育職員1人あたりの月平均を、令和11年度までに30時間程度へ引き下げる目標です。
あわせて教育委員会には、業務量管理・健康確保措置の計画づくりと、実施状況の公表が義務づけられました。
4. あなたの職場はどこに当てはまるか
3つの数字から見えるのは、「教員はブラックか」の一言では片づかない実態です。時間は改善しましたが、中学校では今も3人に1人が週60時間を超えています。休職は着任から日の浅い時期に多く、残業代は働いた時間に連動しません。
平均が改善しても、平均より重い学校は残っています。あなたの職場を3つの軸に当てはめると、次のように見分けられます。
- 時間:平日の在校等時間が中学校平均の11時間1分を超える日が続き、土日も毎週出ている → 平均より重い
- 健康:同じ学校で休職した人が何人もいる、異動してきた人が続けて体調を崩している → 注意が必要
- 制度:業務量管理の計画が職場で話題にならず、在校等時間を把握する仕組みも動いていない → 改善が職場まで届いていない
当てはまる軸によって、打てる手は変わります。時間が重いなら、校務分掌や部活動の割り当てを管理職と相談できるか確かめます。健康面の不安が大きいなら、休職制度や相談窓口を早めに調べておきます。
制度そのものが合わない場合は、事情が違います。給特法は公立学校の教員に適用される法律なので、公立の学校を移っても仕組みは変わりません。複数の軸に当てはまるなら、公立以外の職場も含めて比べる時期です。
塾業界も無条件によいわけではない
塾業界にも、繁忙期の忙しさや授業以外の業務があります。教員を辞めれば楽になる、とは限りません。実際の負担は「塾講師の正社員はつらいのか」にまとめています。
塾も教室ごとに、忙しさや任される範囲が大きく変わります。職場ごとに見るという考え方は、転職先を選ぶときにもそのまま使えます。
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まとめ:3つの数字で自分の職場を確かめる
教員がブラックかどうかは、次の3つの数字で確かめられます。
- 時間:週60時間以上勤務の割合(中学校36.5%・小学校14.2%)
- 健康:精神疾患による休職者数(7,087人)と、着任からの勤務年数
- 制度:残業代の代わりに支給される教職調整額(令和12年度までに4%から10%へ)
時間と制度は改善に向かっていますが、精神疾患による休職者は今も7,000人を超えています。「業界だから仕方ない」で終わらせず、あなたの職場をこの3つに当てはめてみてください。
すでに辞めるかどうかを考え始めているなら、判断の順番を「教員をやめたいと思ったら」で解説しています。
異業種も含めて選択肢を広く知りたい場合は、教員から他業種へ転職する場合も参考にしてください。転職の書類づくりは「教員の経験は履歴書にどう書く?」にまとめています。
相談窓口
塾講師ステーションキャリアは、塾・教育業界に特化した転職支援サービスです。合わない転職はおすすめしていません。
お話をうかがったうえで、今の職場に残るほうがよいという結論になることもあります。転職を決めていない段階から相談できます。
参考文献
・文部科学省「教員勤務実態調査(令和4年度)集計【確定値】」より
・文部科学省「令和6年度公立学校教職員の人事行政状況調査」より
・総務省「令和6年地方公務員給与実態調査結果等の概要」第9表の注記より
・「公立の義務教育諸学校等の教育職員の給与等に関する特別措置法(給特法)」より
・文部科学省「給特法等一部改正法の施行に向けた留意事項について(令和7年9月26日通知)」より
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