公開日 2026/09/29
更新日 2026/09/29

教員はブラックなのか?時間・健康・制度の3つの数字で検証

教員はブラックなのか?時間・健康・制度の3つの数字で検証

「自分の学校だけがおかしいのか、教員という仕事がそもそもこうなのか」。SNSや知恵袋の体験談を読むほど、どちらなのか分からなくなります。

教員がブラックかどうかは、①時間 ②健康 ③制度の3つの数字で確かめられます。

この記事では、直近の公的統計で3つを順に確認します。そのうえで、業界全体の問題か、今の職場の問題かを切り分けます。

この記事の要点

  • 週60時間以上勤務の教員は中学校で36.5%(6年前の57.7%から改善)
  • 精神疾患による病気休職は7,087人で、最多は30代
  • 休職者の46.4%は、その学校での勤務が2年未満
  • 公立の教員には残業代が出ず、働いた時間に関係なく一律の教職調整額が支給される
  • 教職調整額は改正給特法により、令和12年度までに10%へ引き上げられる

目次
■1. 時間|中学校は3人に1人が週60時間以上
■2. 健康|精神疾患による休職は7,087人
■3. 制度|残業代の代わりに一律の教職調整額
■4. あなたの職場はどこに当てはまるか
■まとめ:3つの数字で自分の職場を確かめる
■相談窓口

1. 時間|中学校は3人に1人が週60時間以上

週60時間以上勤務の割合

週60時間以上勤務する教員の割合は、中学校36.5%・小学校14.2%です(文部科学省「教員勤務実態調査(令和4年度)」)。

部活動・授業準備・保護者対応が積み重なった結果なので、どれか一つの業務を減らすだけでは下がりません。

週60時間以上勤務する教員の割合。中学校は平成28年度57.7%から令和4年度36.5%へ、小学校は33.4%から14.2%へ改善(文部科学省・教員勤務実態調査)

・出典:文部科学省「教員勤務実態調査(令和4年度)集計【確定値】」より

ただし6年で大きく改善している

平成28年度は、中学校57.7%・小学校33.4%でした。6年間で中学校は21.2ポイント、小学校は19.2ポイント下がっています。

「教員はブラック」という話を見かけたら、どの年の数字かを確かめてください。平成28年度の数字なら、今より重く見えています。それでも中学校では、3人に1人強が週60時間を超えて働いています。

中学校は土日の負担も大きい

平日の在校等時間は、中学校11時間1分・小学校10時間45分です。正規の勤務時間は1日7時間45分(週38時間45分)なので、どちらも毎日3時間以上長く学校にいます。

土日の在校等時間は、中学校が2時間18分、小学校が0時間36分です。中学校の2時間18分のうち、1時間29分は部活動が占めます。休日も学校に出る点が、中学校ならではの負担です。

部活動や土日の負担の内訳は、「中学教師の年収」の記事にまとめています。

2. 健康|精神疾患による休職は7,087人

病気休職者数と年代

精神疾患を理由に病気休職した教育職員は7,087人で、全教育職員922,776人の0.77%です(文部科学省・令和6年度)。年代別では、30代が2,118人で最多です。

精神疾患による病気休職者数の年代別内訳。30代が2,118人で最多(令和6年度・文部科学省)

・出典:文部科学省「令和6年度公立学校教職員の人事行政状況調査」より

休職者の46.4%は勤務2年未満

休職を発令された時点で、その学校での勤務が2年未満だった人は46.4%(3,293人)です。休職者の半数近くを、着任から日の浅い人が占めています。

休職発令時点の所属校での勤務年数の内訳。2年未満の合計が46.4%(令和6年度・文部科学省)

・出典:文部科学省「令和6年度公立学校教職員の人事行政状況調査」より

校種によっても差がある

在職者に占める休職者の割合は、特別支援学校0.99%・小学校0.83%・中学校0.71%・高等学校0.58%です(令和6年度)。同じ教員でも、校種によって数字が変わります。

年代別・校種別の詳しい内訳や休職後の実態は、「教員をやめたいと思ったら」で解説しています。

3. 制度|残業代の代わりに一律の教職調整額

働いた時間は支給額に反映されない

公立学校の教員には、残業代(時間外勤務手当)が支給されません。代わりに支給されるのが、給料月額の4%にあたる教職調整額です(給特法)。総務省の調査でも、教職調整額は平均給料月額に含まれると注記されています。

教職調整額は、在校等時間が長くても短くても同じ額です。1章で見た週60時間以上の勤務も、支給額には反映されません。がんばっても報われないという感覚は、この仕組みから生まれやすくなります。

教職調整額が給料にどう組み込まれているかは「教員の給料の仕組み」、年収全体の水準は「教員の年収」で解説しています。

制度は法改正で変わり始めている

令和7年6月に成立した改正給特法により、教職調整額の率は令和12年度までに10%へ引き上げられます(令和8年4月1日施行)。

文部科学省の通知(令和7年9月26日)では、時間外在校等時間を減らす数値目標も示されました。教育職員1人あたりの月平均を、令和11年度までに30時間程度へ引き下げる目標です。

あわせて教育委員会には、業務量管理・健康確保措置の計画づくりと、実施状況の公表が義務づけられました。

4. あなたの職場はどこに当てはまるか

3つの数字から見えるのは、「教員はブラックか」の一言では片づかない実態です。時間は改善しましたが、中学校では今も3人に1人が週60時間を超えています。休職は着任から日の浅い時期に多く、残業代は働いた時間に連動しません。

平均が改善しても、平均より重い学校は残っています。あなたの職場を3つの軸に当てはめると、次のように見分けられます。

  • 時間:平日の在校等時間が中学校平均の11時間1分を超える日が続き、土日も毎週出ている → 平均より重い
  • 健康:同じ学校で休職した人が何人もいる、異動してきた人が続けて体調を崩している → 注意が必要
  • 制度:業務量管理の計画が職場で話題にならず、在校等時間を把握する仕組みも動いていない → 改善が職場まで届いていない

当てはまる軸によって、打てる手は変わります。時間が重いなら、校務分掌や部活動の割り当てを管理職と相談できるか確かめます。健康面の不安が大きいなら、休職制度や相談窓口を早めに調べておきます。

制度そのものが合わない場合は、事情が違います。給特法は公立学校の教員に適用される法律なので、公立の学校を移っても仕組みは変わりません。複数の軸に当てはまるなら、公立以外の職場も含めて比べる時期です。

塾業界も無条件によいわけではない

塾業界にも、繁忙期の忙しさや授業以外の業務があります。教員を辞めれば楽になる、とは限りません。実際の負担は「塾講師の正社員はつらいのか」にまとめています。

塾も教室ごとに、忙しさや任される範囲が大きく変わります。職場ごとに見るという考え方は、転職先を選ぶときにもそのまま使えます。

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まとめ:3つの数字で自分の職場を確かめる

教員がブラックかどうかは、次の3つの数字で確かめられます。

  • 時間:週60時間以上勤務の割合(中学校36.5%・小学校14.2%)
  • 健康:精神疾患による休職者数(7,087人)と、着任からの勤務年数
  • 制度:残業代の代わりに支給される教職調整額(令和12年度までに4%から10%へ)

時間と制度は改善に向かっていますが、精神疾患による休職者は今も7,000人を超えています。「業界だから仕方ない」で終わらせず、あなたの職場をこの3つに当てはめてみてください。

すでに辞めるかどうかを考え始めているなら、判断の順番を「教員をやめたいと思ったら」で解説しています。

異業種も含めて選択肢を広く知りたい場合は、教員から他業種へ転職する場合も参考にしてください。転職の書類づくりは「教員の経験は履歴書にどう書く?」にまとめています。

相談窓口

塾講師ステーションキャリアは、塾・教育業界に特化した転職支援サービスです。合わない転職はおすすめしていません。

お話をうかがったうえで、今の職場に残るほうがよいという結論になることもあります。転職を決めていない段階から相談できます。

参考文献
・文部科学省「教員勤務実態調査(令和4年度)集計【確定値】」より
・文部科学省「令和6年度公立学校教職員の人事行政状況調査」より
・総務省「令和6年地方公務員給与実態調査結果等の概要」第9表の注記より
・「公立の義務教育諸学校等の教育職員の給与等に関する特別措置法(給特法)」より
・文部科学省「給特法等一部改正法の施行に向けた留意事項について(令和7年9月26日通知)」より


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記事執筆者:塾講師ステーション情報局 編集部

塾講師ステーション情報局上の記事の企画・執筆・編集をしています。
年100本以上の記事を執筆する有識者や塾バイト経験者をはじめとする、塾講師業界に関するエキスパート集団です。

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