公開日 2026/09/18
更新日 2026/09/18

教員の給料の仕組みを解説!残業代が出ない代わりに何があるのか

教員の給料の仕組みを解説!残業代が出ない代わりに何があるのか

給与明細を見ても、どの項目がどういう理屈で付いているのかは、説明されないまま受け取っている方が多いです。

教員の平均給料月額は353,632円(小・中学校)です。 一般行政職より35,681円多い一方で、
諸手当は26,477円少ない、というのが実際の形です。

理由は残業代が出ないことにあり、ここが「がんばっても給料が変わらない」と感じる理由になっています。

この記事は、給与明細の中身を知っておきたい教員の方に向けて書いています。

総務省の調査から「給料」「諸手当」「給与」の違いを整理し、どこまで上がるのかまで見ていきましょう。

金額そのものより、この仕組みを知っておくほうが待遇の判断に効きます。

 

【この記事のまとめ】

  • 平均給料月額は353,632円。「給料」と「給与」は別のものとして分けて読む
  • 残業代は出ず、代わりに教職調整額がある。働いた時間には連動しない
  • 諸手当は一般行政職より26,477円少ない。合計では上でも中身の作りは逆

目次
■平均給料月額は353,632円。給与とは6万円違う
・まず「給料」と「給与」を分けます
・表:職種区分別の平均給料月額と諸手当(令和6年4月1日現在)
・3つの言葉の意味
■残業代が出ない代わりにあるのが教職調整額
・公立学校の教員に時間外勤務手当はありません
・給料が高く見える理由の一部はこれです
・教職調整額は働いた時間に応じて増えません
・評価の問題ではなく設計の問題です
■諸手当は一般行政職より26,477円少ない
・合計では上でも、中身の作りは逆です
・この諸手当に賞与は含まれていません
・例外は特殊勤務手当です
■給料は上がる。上がり方は級と号給で決まる
・年齢とともに上がる方向であることは確認できます
・上がり方は、級と号給と人事評価で決まります
・平均値より、自分の自治体の給料表を見てください
■民間と比べるなら、同じ土俵は正社員の545万円
・比較対象は正社員545万円です
■よくある質問
■まとめ:給料は「額」より「何と連動するか」

平均給料月額は353,632円。給与とは6万円違う

まず「給料」と「給与」を分けます

総務省が令和6年4月1日現在で調べた結果です。

同じ表に「給料月額」と「給与月額」が並んでいますが、これは誤植ではありません。別の概念です。

表:職種区分別の平均給料月額と諸手当(令和6年4月1日現在)

職種区分 平均年齢 平均給料月額 諸手当月額 平均給与月額
小・中学校教育職 41.5歳 353,632円 58,333円 411,965円
高等学校教育職 44.7歳 370,300円 62,841円 433,141円
一般行政職 42.1歳 317,951円 84,810円 402,761円

出典:総務省「令和6年地方公務員給与実態調査結果等の概要」第9表(令和6年4月1日現在)より

3つの言葉の意味

  • 給料 … 給料表で決まる基本の部分。教職調整額もここに含まれます
  • 諸手当 … 地域手当・扶養手当・住居手当・特殊勤務手当など
  • 給与 … 給料+諸手当。毎月実際に支給される合計

 

「調べるたびに金額が違う」と感じたことはないでしょうか。理由はここにあります。

「教員の給料はいくら」の答えは、どちらを聞かれているかで6万円ほど変わります。 数字を見かけたら、まずそれが給料なのか給与なのかを確認しましょう。

この1点を押さえるだけで、記事ごとの食い違いはほとんど説明がつきます。

なお、区分上、小・中学校教育職には幼稚園の教員が含まれます。

残業代が出ない代わりにあるのが教職調整額

公立学校の教員に時間外勤務手当はありません

では、なぜ残業代が出ないのでしょうか。ここが、教員の給与を分かりにくくしている一番の要因です。

公立学校の教員には、時間外勤務手当(残業代)が支給されません。 代わりに教職調整額が支給され、
これは同じ調査の注記で「平均給料月額」に含まれると明記されています。

出典:総務省「令和6年地方公務員給与実態調査結果等の概要」第9表の注記(令和6年4月1日現在)より

給料が高く見える理由の一部はこれです

教員の給料が一般行政職より35,681円高く見えるのは、これが理由の一部です。

一般行政職なら手当として外に出る分が、教員では給料の中に入っているためだと考えると分かりやすくなります。

教職調整額は働いた時間に応じて増えません

金額よりも、性質のほうを知っておくと役に立ちます。

教職調整額は、働いた時間に応じて増えません。 在校等時間が9時間の日も13時間の日も、支給額は同じになります。

参考に、教諭の平日1日当たりの在校等時間は小学校10時間45分・中学校11時間1分です。

1週間当たりの正規の勤務時間は38時間45分です。

出典:文部科学省「教員勤務実態調査(令和4年度)集計【確定値】」(令和4年度)より

評価の問題ではなく設計の問題です

「これだけやっても変わらない」と感じたことがある人もいます。

ただ、それは評価されていないからではなく、時間と金額が連動しない設計になっているためです。 制度の話として切り離して考えられると、

必要のない自己否定をしなくて済みます。

諸手当は一般行政職より26,477円少ない

合計では上でも、中身の作りは逆です

一般行政職と比べると、どこが違うのでしょうか。

  • 平均給料月額:小・中学校教育職 353,632円 > 一般行政職 317,951円(35,681円多い
  • 諸手当月額:小・中学校教育職 58,333円 < 一般行政職 84,810円(26,477円少ない
  • 合計(給与月額):411,965円 > 402,761円(9,204円多い)

小・中学校教育職と一般行政職の給料月額と諸手当月額の内訳。小・中学校は給料35.4万円+諸手当5.8万円=41.2万円、一般行政職は31.8万円+8.5万円=40.3万円(令和6年4月1日現在・総務省)

 

合計では教員が上ですが、中身の作りが逆になっています。 一般行政職の諸手当が多いのは、
そこに時間外勤務手当が乗っているからだと考えると説明がつきます(推測です。調査は手当の内訳までは公表していません)。

この諸手当に賞与は含まれていません

なお、この諸手当は「月額」ですので、期末手当・勤勉手当(賞与)は含まれていません。 支給月数は自治体の条例で決まります。

年間の合計額は、この記事では断定しません。

賞与まで含めた年間の金額と、民間の水準との比べ方は、ハブ記事の「教員の年収」にまとめています。

ご自身の年間収入を知りたいときは、源泉徴収票の支払金額を見ていただくのが確実です。

例外は特殊勤務手当です

ひとつだけ例外があります。

特殊勤務手当(令和6年4月分・職員1人当たり)は高等学校教育職4,586円/小・中学校教育職2,665円/一般行政職402円で、教員のほうが6.6〜11.4倍多くなっています。

部活動指導や引率に対応する分ですが、金額としては月に数千円ほどです。

出典:総務省「令和6年地方公務員給与実態調査結果等の概要」第11表(令和6年4月分)より

給料は上がる。上がり方は級と号給で決まる

年齢とともに上がる方向であることは確認できます

「この先、どのくらい上がるのだろう」。ここも気になるポイントです。

平均給料月額は、小・中学校教育職(平均41.5歳)が353,632円、高等学校教育職(平均44.7歳)が370,300円です。

平均年齢が3.2歳上の集団で16,668円高いので、年齢とともに上がっていく方向であることは確認できます。

上がり方は、級と号給と人事評価で決まります

仕組みから言えることが3つあります。

  1. 同じ級の中では、号給の上昇はいずれ頭打ちになります
  2. さらに上げるには級を上げる=昇任が必要です(主幹教諭・教頭・校長など)
  3. 昇給の幅と賞与には、人事評価の結果が反映されることとされています

3つめには補足が必要です。

地方公務員法では、人事評価の結果を任用・給与などに活用することとされています。対象は昇給(基本給)と勤勉手当(賞与)の両方です。 業績評価の項目には学習指導・生徒指導が含まれます。

ですので「授業の成果は給料に関係ない」というわけではありません。

 

出典:文部科学省「公立学校の教師の人事評価について」(地方公務員法第23条第2項・令和7年9月)より

 

ただし、運用は自治体ごとに差があります。 文部科学省は令和7年9月に、
評価結果の活用を徹底するよう改めて資料を出しています。

なお、年齢別の具体的な金額は、総務省の概要資料が年齢階級別の内訳を公表していないため、この記事では出していません。

ご自身の自治体で評価がどう反映されているかは、給料表とあわせて確認しておきましょう。

平均値より、自分の自治体の給料表を見てください

「では自分はどこまで上がるのか」。ここが分からないままだと、判断のしようがありません。

そこで、あなたの自治体の給料表を一度見てみましょう。 見るのは「1号上がると何円か」と「この級の最高号給はいくらか」の2点だけで十分です。

前者が定期昇給の1年分、後者が昇任しない場合の到達点になります。

この記事の平均値より、その1枚のほうがあなたの判断には役に立ちます。

民間と比べるなら、同じ土俵は正社員の545万円

比較対象は正社員545万円です

民間と比べたい方も多いため、その相手も見ておきましょう。

並べる相手になるのは正社員545万円(令和6年分・国税庁)です。

全体平均478万円はパート・アルバイトを含む正社員以外(206万円)が混ざっているため、
教員と並べると条件が揃いません。

出典:国税庁「令和6年分民間給与実態統計調査結果について」(令和6年分)より

民間の平均給与(年収)。並べる相手は正社員545万円で、給与所得者の平均478万円にはパート・アルバイト等の正社員以外206万円が含まれる(令和6年分・国税庁)

塾の給与の決まり方をエージェントに聞いてみる

よくある質問

Q. 「給料」と「給与」はどう違うのですか?

給料は給料表で決まる基本の部分(教職調整額を含む)で、給与は給料に諸手当を足した毎月の支給合計です。

小・中学校教育職では353,632円と411,965円ですので、
6万円近く違ってきます。 記事や求人で数字を見かけたときは、どちらを指しているか確認しましょう。

Q. 残業しても給料は増えないのですか?

増えません。公立学校の教員には時間外勤務手当がなく、代わりの教職調整額は働いた時間に連動しないためです。

在校等時間が9時間の日も13時間の日も、支給額は同じになります。

Q. 給料はどこまで上がりますか?

同じ級の中では号給の上昇がいずれ頭打ちになり、さらに上げるには昇任が必要になります。 具体的な到達点は自治体ごとに違いますので、
あなたの給料表で「この級の最高号給」を確認しましょう。

まとめ:給料は「額」より「何と連動するか」

  • 平均給料月額は小・中学校353,632円/高校370,300円。諸手当を足した給与月額は411,965円/433,141円(令和6年・総務省)
  • 「給料」と「給与」は別。小・中学校では6万円近く違います
  • 教員は給料が厚い(+35,681円)、手当が薄い(-26,477円)。残業代がなく、教職調整額は給料に含まれる
  • 給料は上がるが同じ級の中では頭打ちになり、上げるには昇任が必要
  • 昇給の幅と賞与には人事評価が反映されるとされている(地方公務員法第23条第2項)。ただし運用は自治体ごとに差がある
  • 民間の比較対象は正社員545万円(令和6年分・国税庁)。全体平均478万円は雇用形態が混ざっています

「給料が不満」と感じたら、それが①金額 ②上がり方 ③時間との連動、
どれなのかを先に決めましょう。
③なら、金額を上げても解消しません。

塾業界の給与の内訳は塾講師の年収の解説
職種ごとの違いは塾の5職種の比較にまとめています。

この記事が、あなたの給与明細をもう一度見てみるきっかけになれば幸いです。

なお、塾講師ステーションキャリアは合わない転職をおすすめしていません。 「そのご不満は、
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記事執筆者:塾講師ステーション情報局 編集部

塾講師ステーション情報局上の記事の企画・執筆・編集をしています。
年100本以上の記事を執筆する有識者や塾バイト経験者をはじめとする、塾講師業界に関するエキスパート集団です。

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